クリニック開業支援 クリニック開業までの流れとやるべき事 税理士法人 FP総合研究所
3.開業地の選定

《ワンポイントコメント》

  • 開業候補地があれば、まず診療圏分析を行います。いろいろな事業者が診療圏分析を提供していますが、その内容結果は様々です。一概にそれだけで決断できるものではありません。

  • 実際、そこの人口がどこの医療機関に行っているのか、近隣の医療機関の情報など的確に見ていかないと、ただ人口が多いだけでの開業は危険です。

  • 開業候補地を選定されたら、近隣の医療機関の情報、ドクターの年齢・評判、来院患者数、後継者はいるかいないかなど多くの調査をして、はじめてその場所がいい開業場所と言えますので数値のみで判断するのは危険です。

 

開業地選定の考え方

【患者吸引力の3要素】

  • 場所
    まず地域の人口(密度)が上げられます。人口が多いという判断はその場所に住んでいる住民人口とその場所で働いている就業人口の2点で判断する必要があります。その他のポイントとしては、近隣交通機関の乗降客数、デパートやスーパー、銀行などの存在で、その地域に患者を集める力があるか判断することができます。

  • 競合医院機関
    競合医療機関が、相乗効果になるか、相反効果になるか、まずは同一地域内の競合病医院が地域内でどの程度、認知されているかを見極めることが必要になります。競争相手の地域内での評判は、開業後の集患活動に大きな影響を与えます。そのため、客観的に判断することが必要となります。
    また、競争相手ドクターの年齢や出身大学、専門領域、病医院内の医療設備やスタッフの状況、1日の来院数、後継者の有無などの情報を入手し、開業準備の段階から対策を講じることがポイントとなります。
    年齢の高いドクターの場合には、後継者の存在の有無はクリニックの存続に関係しますので判断材料として考慮することができます。

  • ドクター自身の患者集客力
    開業希望ドクター自身の患者を惹きつける力を意味します。現在までの勤務先においてどのように患者と接してきたか、患者からの評判は良かったかなど、ドクターからの問診、あるいは患者などからの聴取によって判断することができます。勤務先の近くで開業するドクターは、勤務先での評判・評価によって、患者を集客できる力が決まってきます。
    開業を考えた時点で勤務先での勤務体制を見直し、より多くの患者に受け入れられる診療姿勢というものを考えていくことが重要になります。

 

開業地の立地条件

いい立地条件は、基本的に人の動きがたくさんある場所です。それは、生活に密着した場所を選定することです。多くの人は決められた生活行動の中で活動していますので、行動の範囲から逸脱する部分では抵抗を感じるものです。普段から動き慣れている、行き来している幹線を離れて、違う脇道を通ることはあまりありません。まず、常に人目に触れる生活道路沿いで人の動きが多くある場所を探します。

人の動きが多いところとは、人が自然に集まるアクセスの良い場所ということになります。かつ、大型スーパーマーケットやドラッグストアなど、強い集客力を持つ場所の近隣に物件が存在すれば、開業地として検討する価値は十分にあります。これは、医療と一般事業との相関関係で協力し合い相乗効果を狙うという考え方です。また、他科目の医院が既に入居している医療ビルなどは、患者がそこに医療機関があることを認識しているので、新たにオープンした場合に、患者が自院の診療科目に通院してくれる可能性が高くなることも考えられます。メディカルエリアや病院が集中している地域についても同じことがいえます。あくまで、生活習慣を利用した形で地域をとらえて、その動線を考えると開業適地を選定することが出来ます。

【患者の来院を拒む要因】
診療所へ通院する過程において、所要時間が短く、かつ楽に通院できることがポイントです。一方、患者の来院を拒むものは何かという要素についても検討することが必要です。

来院の阻害要因
  1. 自然地形(山や川)
  2. 施設建造物(学校・市役所などの公共施設、工場施設、大型商業施設)
  3. 高速道路や広い幹線道路・中央分離帯
  4. 鉄道の線路
  5. 一方通行の道路
  6. 診療所にたどり着くために、複雑に入り組んだ道路を通らざるを得ない
  7. 所在地がわかりにくい
  8. 駐車場を確保していないこと
※患者がスムーズに来院でき、帰宅できること。
※通常の生活行動範囲の中で、来院できること。
※車での来院も考え、駐車スペースへの出入りが容易なこと。
※駐車がしやすいスペースを確保すること。

【その他の立地判定基準】
開業地のパターンを駅前型(商業地内および近隣)と郊外型(住宅地内および近隣)に区分して診療科目別に開業適性を比べてみると、特に立地パターンにこだわらない診療科目もあるものの、婦人科や精神科は人目につきやすい郊外型には適さず、小児科は緊急性が強い傾向にあるため、交通手段を利用する必要がある駅前型を敬遠したいなどの診療科目の適性が出てきます。

駅前開業
    交通の要所または繁華街、ビジネス街での開業がこのパターン。
    専門性をアピールし、患者集客を狙う形態が主である。通院可能な比較的元気のある患者や、ビジネスマンを対象にするので、小児科、産婦人科などの科目は、郊外の主要駅、または地下鉄駅沿いを除き、適しているとはいえない。専門性を生かせる、内科(消化器科・循環器科・呼吸器科)、耳鼻科、眼科、皮膚科、メンタル、泌尿器科、美容外科、形成外科などは広範囲に患者を集客できる可能性を持っている。
郊外型開業
    中心部を離れ郊外の住宅地や商業地での開業がこのパターン。
    地域に密着した診療体制を主にアピールしながら患者を集客する形態。小児科、産婦人科、内科(小児も診察する一般内科、または専門性を打ち出す内科)、耳鼻科、眼科、皮膚科、整形外科、などが一般的に開業している。脳神経外科も広い土地を要するため郊外型が多い。

 

開業場所の選定はSWOT分析で

【患者の来院を拒む要因】
さて、どのような診療所にするかが決定したら、開業する場所の選定となります。開業候補地がどの程度自院に適しているかを考慮しながら決定します。マーケティング調査(診療圏調査)をして、どのくらいの患者が見込めるかを検討することになりますが、一般的な開業適地としては以下の要件を満たしていることといわれています。

  1. 勤務先、出身地、出身大学、住居の周辺 ・・・・・・ (患者確保の容易性)
  2. 駅前、商店街、オフィス街等 ・・・・・・ (人の多い場所)
  3. 都市開発計画予定地、
    新興住宅地や人口増加の予定される地域 ・・・・・・ (街の将来性や活気のある地域)
  4. 競合医療機関の少ない場所
  5. 土地の広さ、駐車場が確保のできる場所

開業の適地であるかどうか不動産物件をよく吟味して選択するのですが、その際SWOT分析の手法を活用すると情報が整理しやすくなります。その立地で自院がどのような強みを発揮して医療サービスを提供できるか、そして弱みとなることは何か、強みの得意分野などを受け入れてくれる患者がいるか、ライバルとなる競合医院の状況はどうか。このように4つの視点から、どのように差別化を図るか情報を整理すると、当初考えた自院の方向性を軌道修正するのにも役立つことがおわかりになると思います。そして、何を行うべきで、何を行わないのかを判断することもとても大事なことです。

【開業地決定のためのSWOT分析】

 

プラス要因

マイナス要因

内部
環境

Strength(強み)
自分が他者より得意な分野は何か?

Weakness(弱み)
自分が他者より不得意な分野は何か?

外部
環境

Opportunity(機会)
自分のチャンスになるのは何か?

Threat(脅威)
自分の障害になるのは何か?



何をするべきか?      何をしないか?

開業形態はどのタイプが優れているというものではなく、診療内容や自己資金の状況等を考慮して決めることが大切です。

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