クリニック開業支援 クリニック開業までの流れとやるべき事 税理士法人 FP総合研究所
4.開業形態
開業形態

立地特性や地域特性をよく分析して、まず開業のタイプを決定する必要があります。
    開業形態
    (1)戸建て (2)借地医院  (3)医院建て貸し(リースバック)
    (4)医療ビル(ビルテナント) (5)メディカルビレッジ
開業形態から自分に最適なものを選んで計画を進めます。実際には理想とする開業形態で資金計画を作成しみて、自己資金とのバランスから実現可能((1)~(5))なタイプを判断します。

 

開業形態の特長と留意点

立地条件は、基本的に人の動きがたくさんある場所です。それは、生活に密着した場所を選定することです。多くの人は決められた生活行動の中で活動していますので、行動の範囲から逸脱する部分では抵抗を感じるものです。普段から動き慣れている、行き来している幹線を離れて、違う脇道を通ることはあまりありません。まず、常に人目に触れる生活道路沿いで人の動きが多くある場所を探します。

(1)戸建て
  • 大都市部(東京、大阪)では、土地購入費だけで億単位の資金が必要となってしまい、土地を購入しての開業は採算的に無理があります。

  • 郊外型のベッドタウンでは、大都市部ほど地価も高くないので、土地から購入しても十分に採算に合い、戸建てとすることも可能となります。

  • 住居併用医院は、店舗のみよりも融資面で有利となり、借入期間も長期とすることができます。

(2)借地医院
  • 他人の土地を賃借し、その土地に建物を建築する場合、借地契約書(土地賃貸借契約書)を取り交わすことになります。平成4年8月から新借地借家法が施行され、貸主の権利がやや強化されるなどの契約関係が当事者間で明確になったため、新規借地の需要・供給が増加しています。

(定期借地権)
定期借地権制度とは、契約上定められた期間が満了すると、借地契約の更新や建物の築造による契約延長を行わないもの。借地借家法では、定期借地権を次の3種類に定めています。

定期借地権の種類と要件

借地権の種類 一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権 事業用定期借地権
借地の
存続期間
50年以上 30年以上 10年以上20年以下
契約の
更新期間の
延長
更新なし
期間の延長なし
更新なし
期間の延長なし
更新なし
期間の延長なし
借地の
目的建物の
用途
建物所有
建物の用途の限定なし
建物所有
建物の用途の限定なし
事業用建物所有
建物用途は居住者用
以外のものに限定
期間満了時の
建物の扱い
建物の
買取請求はできない
更地にして返還
建物を相当の対価で
借地権設定者に譲渡
建物付で返還
建物の買取請求は
できない
更地にして返還
その他 契約当事者双方の合意により再度契約を結ぶことはできる 借地権消滅後、
建物使用者の求めにより
期間の定めのない
借家関係となることも可
契約当事者双方の
合意により再度契約を
結ぶことはできる
  • 定期借地権を利用の場合は、通常、普通借地と比較して権利金、敷金等が低く設定されます。ただし、期間満了で、建物が残っていても土地を返還することとなります。

  • 契約期間が限定(10年~30年)されていることから、子供や後継者がいない医師向きともいえます。

  • 投下資本は土地購入に比べると割安となります。
(3)レント・クリニック(医院建て貸し)
  • 地主が土地に新たに医院をつくって、開業希望医に建物を賃貸するタイプです。借主である医師は、医療機器、什器などと運転資金のみの準備で開業可能となり、まさに時代の要請ともいうべき開業タイプといえるでしょう。

  • イニシャルコスト(初期投資)を抑える一方で、開業後のランニングコスト(家主への家賃)は、若干負担増となります。開業後の診療収入に見合った額の家賃設定がポイントとなります。一般に、投資の大きい地主側が一方的にリスクを負わないように、契約期間は長期になります。途中解約に備え、ペナルティとして地主側が投資した資産の残存価値相当額を医師側が支払う特約要件を契約内容に盛り込む場合もあります。

  • 初期投資額の負担を地主側と医師側とで平等にするように、建物の建築費用に充てる建設協力金を地主側から求められることもあります。初期投資金額は低く抑えられますが、将来、土地や建物も自分のものにはなりません。 賃料をスライド方式にすると、初年度の賃料を通常より安く抑え、経営が安定する頃にその分を上乗せすることもできます。
(4)医療ビル(ビルテナント)
  • 駅前のビルなどに入居し開業するテナント開業タイプは、大都市部などではごく一般的にみられます。診療圏の比較的広い、精神科、美容・形成外科、あるいはアレルギーや不妊外来等の専門性の高い診療科が適します。また、皮膚科や耳鼻咽喉科、眼科など、通院頻度の高い診療科においても、利便性の高さから駅ビルなどに入居するケースが多くあります。駅ビルのテナントの場合、保証金が高額になるケースがありますので注意してください。

  • 初期投資の負担は戸建てよりも大幅に抑えることができますが、家賃の上昇率が診療収入の伸びを上回ることのないように、中・長期的な計画が重要となります。

  • 内装工事については、契約する前にあらかじめ内装業者や設備業者と十分な打合せが必要です。必要なX線等医療用機器の設置、電気工事、患者用トイレ、洗面等の給排水工事、放射防護工事等が可能であるかの確認を怠らないようにしてください。

  • メディカルビルやクリニックモールでの開業もテナントタイプです。以下、その特徴を記します。

    1. メディカルビル
      複数の診療科の独立した医院が1つの医療ビルにまるごと入居し、患者はワンストップであたかも総合病院の外来のように受診できる機能を持つものです。

    2. クリニックモール
      医院が集合して開業する1つの形態で、患者にとっては1か所で専門的、多角的な治療が受けられます。医院相互の連携で総合的に協力し合うことで、質の高い医療サービスを提供し、施設の共同利用による無駄なコストを削減します。その反面、モール内の1人の医師の評判が悪かったり、閉院したりすると、他の医院の集患に影響することもあります。

(5)メディカルビレッジ
  • メディカルビルやクリニックモールと同様に1か所に医院が集約しますが、それぞれが独立した一戸建ての医院であるところが違う点です。いわば地域の1区画が医院ゾーンを形成するタイプです。医院側もビレッジ連携すれば広告宣伝の相乗効果が期待できます。診療圏調査によって市場性が高いと判断され、集患が見込まれることが重要となります。メディカルビルやクリニックモールよりも初期費用が高くなります。

 

土地購入選定の注意点

立地を決定し、その物件の契約の段階に入るとさまざまな不動産にまつわる法律知識(土地、建物の購入の際は国土利用計画法、都市計画法、建築基準法、宅地建物取引業者等)が必要です。

【土地購入選定の注意点】

1. 取引について信頼のおける業者へ依頼する。
2. 購入物件について重要事項の説明を文章にして報告を受けること。
 (重要事項説明書)
3. 登記簿等により権利関係の確認をする。
4. 土地の公図により土地の位置、形状について確認する。
5. 現地確認を何度も十分に行うこと。
6. 各種法令に基づく法規制(建ぺい率や容積率等)の確認をする。
7. 売買価格の妥当性を検討する。
8. 接する道路状況の確認をする。
9. 駐車場のスペースを考慮すること。
10. 周辺環境として周辺に人の集りやすい施設があり不潔感のある施設がないこと。
11. 投下資本に対する回収期間20年~25年で検討すること。

 

不動産賃貸借契約の注意点

貸主が借主に対し物件を使用収益させ、逆に借主はその見返りとして、土地を借りる場合には地代を、建物を借りる場合には家賃を貸主に支払うことを賃貸借契約といい、最近医院開業で増加中の土地を借りる「借地」や、建物を借りる「借家」は、民法の規定の他に借地借家法などの特別法で定められています。

賃借契約は、貸主と借主の間で契約期間・賃料等を個別に定めて締結しますが、契約時もっとも違いがあるのが敷金、権利金、保証金等の有無と内容です。資金計画に必要とされるので地域の相場を事前に調べておくことが大切です。

【賃貸借契約内容の確認の注意点】

1. 契約内容

賃貸借契約書、重要事項説明書を確認します。

2. 契約者

不動産の所有者と賃貸人とが同一人であるか確認すること。
医療法に基づく保健所への診療所開設届を提出する際、
登記簿謄本と賃貸借契約書の添付が義務付けられています。

3. 契約期間

契約期間は双方の合意の下で決定します。
契約更新の確認をすること。
3年から5年で区切り更新するのが一般的です。

4. 賃料

賃料の設定、値上時期、値上率、支払日の確認をする。

5. 共益費

共益費の負担をするのか確認をする。

6. 敷金

敷金は月額賃料の何ヶ月分か、
敷金の償却をするのか。(返還の有無、時期)

7. 権利金

権利金があるとすれば月額賃料の何ヶ月分か。

8. 内装設備

医療法人の施設基準や医療機器の設置にかかる制約にも
合致していること。

9. 明け渡し条件

原状復帰(借りた時の状態に戻す)して明け渡します。
造作物等については撤去する必要があります。

10. 解約通知

解約は何ヶ月前に通知すれば良いか。

3. 開業地の選定へ 5. 診療圏分析へ
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