クリニック開業支援 クリニック開業までの流れとやるべき事 税理士法人 FP総合研究所
5.診療圏分析

《ワンポイントコメント》

  • 診療圏分析は診療科・圏内の年齢階層別人口、夜間昼間人口動態調査、疾病別受療率等と資料とし、さらに競合医療機関の影響等を斟酌して行い、その上で収支計算からみた患者予想も立てます。

 

診療圏調査のプロセス

診療圏調査とは、開業予定地における潜在患者数を算定する調査のことをいいます。開業予定地が住宅地なのか、オフィス街なのか、子供は多いのか、少ないのか、今後の人口動態の状況などの情報を仕入れ、整理することで、開業後の患者数をシミュレーションすることが可能となります。

  • プロセス1:診療圏マップの作成
    開業希望地の診療圏を分析するに当たり、地区のイメージをインプットするために診療圏マップを作成します。診療科目によって目的地からの半径に相違が出ますが、概ね半径500m を一次診療圏、半径1000m を二次診療圏、1000m 以上を三次診療圏と捉え、マップに円を描き、その円内に存在する競合医院をマップに記していきます。競合する診療科目の医院、および病院についてもプロットします。このイメージから、収集すべき人口等の地区を限定していきます。

  • プロセス2:受療率の設定
    受療率とは、日本全国で1日に病院および診療所にかかる患者数を算定するための基準のことです。10 万人の人がいたら、そのうち実際に受診している患者数を算出し、割り返した数値で表します。受療率はひとつの基準に統一されてはおらず、受療率決定に当たっては、数種類の資料から適正な数値を採用することになります。一般的に厚生労働省の患者調査、疾病行為別患者推移表などから、対象診療科目の数値を集計することで受療率を算出することになります。

  • プロセス3:設定診療圏内の人口の把握
    基本は、住民基本台帳から対象とする診療圏の人口を算定することです。分析の内容によっては、女性のみの人数、小児の人数、老人の人数の分類などを行いますが、通常は総人口で把握することになります。この数値に、地域の就業者人口、交通機関の乗降者人口、などを付加して診療圏を分析することもポイントになります。

  • プロセス4:潜在患者数の算定
    設定した診療圏の範囲に居住する総人口・就業者人口・乗降者数など、これまで決定したファクターの集計作業を行います。科目別受療率を掛け、1日あたりの潜在患者数を算定し、診療圏内における潜在患者数の数字を確認し、競合医院の医療機関の評価分析、そして診療圏内における潜在的な患者数を算出します。これらの作業により診療圏内の潜在患者数の全体像が判明することになります。

 

戦略策定には患者ニーズの把握が不可欠

国民意識は「安心・快適・豊かさ」を三つのキーワードに、住み慣れた土地で健康に、そして豊かに暮らしたいと強く願っています。医療に対するニーズも治療から予防へと変化すると同時に、量的なものから質的なものへとその内容も変化してきています。近年では効率についても求めるようになっています。
このように国民意識が変化する中で診療所経営を行うには、患者ニーズを把握することが戦略策定の上で最も重要なこととなっています。その際に考えなければならないのは「診療圏」です。患者行動を考えると下表のように分類できるのではないでしょうか。

診療圏 標榜科
一次
診療圏
日常生活圏内の提供医療 人々が歩行で営んでいる日常の生活行動範囲で、幼稚園、小中学校通学園、日常品(最寄品)購買圏、徒歩通勤圏の範囲で半径500m~1km以内 プライマリケア
在宅医療
( 内科、外科、整形外科等)
二次
医療圏
通常行動圏内の提供医療 乗物を利用することによって可能となる生活行動範囲で、高校通学圏、買回品(高級品)購買圏などで、乗物で半径1km~2km以内 専門診療所
(耳鼻科、眼科皮膚科、脳神経外科、心療内科、泌尿器科、小児科等)
三次
医療圏
最大行動圏内の提供医療 特別の必要がある場合に限って長時間かけてでも出かける範囲、その場合の必要性の度合、地域の習慣、交通事情によって必ずしも一定しない 精神科、神経科、 産婦人科、美容外科

少子高齢化や核家族化、医療界に目を向けても医学や医療技術の進歩はめざましいものがあります。このように社会環境の変化に対応しながら、医療機関においても機能分化が進んでいます。その中で、自院が独自性のある価値あるポジションを創り出すには、これまでの診療科を標榜しているだけでは困難な状況になっていて、最近では地域密着型や専門特化型の医療施設が活躍しています。

  • 地域密着型医療施設
    「かかりつけ医制度」の進展により、在宅医療、介護施設や福祉施設との連携を図りつつ、患者を確保する診療所。(一次診療圏をターゲット)

  • 専門特化型医療施設
    心臓・肝臓・腎臓・肛門などの専門の診療科を標榜して、広域の診療圏から患者を集めている。入院が必要な場合は連携する病院を紹介。(二次診療圏をターゲット)
4. 開業形態へ 6. 事業計画書の作成へ
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