【No1030】所得税の確定申告の申告漏れにご注意を

年末も近づき確定申告の時期が近づいてきました。そこで、今回は所得税の確定申告の際に収入の計上漏れになりそうなものについて、国税庁のホームページで掲載がありましたので、ご説明します。

1.収入の計上漏れになりそうなもの

(1)事業所得又は雑所得(事業)で計上するもの

①原稿料、講演料、印税、放送出演料などの収入

事業所得に該当する場合を除き、雑所得(業務)で確定申告が必要となります。

②フリマアプリ、ネットオークション、ネット通販、ドロップシッピング、配達代行業、動画配信、アプリ作成・配信、有料メルマガ、アフィリエイト、ギャラ飲み、民泊、カーシェアリング、自宅等の時間貸し等の収入

原則、事業所得又は雑所得(事業)として確定申告が必要となります。ただし、生活に通常必要な動産の譲渡による所得は非課税となりますので、確定申告は不要です。

③太陽光発電設備による売電収入

太陽光発電設備を家庭用として利用、余剰電力を売却されている場合には、雑所得(業務)として確定申告が必要となります。

(2)雑所得(その他)で計上するもの

①暗号資産の取引に係る収入

ビットコインをはじめ暗号資産を売却又は使用収益については、原則、雑所得(その他)として確定申告が必要となります。

②株主優待を受け取ることによる経済的利益

株主優待を受け取った場合には、その受け取った経済的利益を雑所得(その他)として確定申告が必要となります。経済的利益は、その優待品の市場価値や換金価値となります。 

③保有する外国通貨の日本円への交換などによる為替差益の収入

為替差益については、原則、雑所得(その他)として確定申告が必要となります。ただし、外国通貨を保有している際に生じる含み益については、利益が確定していないため確定申告は不要です。

(3)雑所得(公的年金等)で計上するもの

①一定の外国年金の収入

過去に海外企業などに勤務し、退職後に国内に居住している人が、その勤務に基づき支給を受ける年金等一定の外国年金については、原則、雑所得(公的年金等)として確定申告が必要となります。なお、外貨で支払を受けた場合は、支払を受けた時の電信売買相場の仲値(TTM)で日本円に換算する必要があります。 

(4)一時所得で計上するもの

①競馬、競輪、オートレース、ボートレースの払戻金の支払い

原則、一時所得として確定申告が必要となります。一時所得の計算は、下記の算式で計算します。

(払戻金に係る年間受取額 - 的中した投票券の年間購入費用) - 50万円

※外れた投票券の購入費用を除く。

※他に一時所得がある場合、すべての一時所得の収入金額の合計額から当該収入を得るために支出した金額の合計額を差し引いた後に、特別控除額(50万円)を差し引きます。

※総所得金額に算入される一時所得の金額は、上記で計算した一時所得の金額に2分の1を乗じた金額となります。

②生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金の収入

保険料負担者と保険金受取人が同一の場合、一時所得として確定申告が必要となります。一時所得の計算は、下記の算式で計算します。

(受け取った保険金額) - これまでに支払った保険料) - 50万円

※他に一時所得がある場合、すべての一時所得の収入金額の合計額から当該収入を得るために支出した金額の合計額を差し引いた後に、特別控除額(50万円)を差し引きます。

※総所得金額に算入される一時所得の金額は、上記で計算した一時所得の金額に2分の1を乗じた金額となります。

③ふるさと納税の謝礼として特産品を受け取ったことによる経済的利益

寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得として確定申告が必要となります。一時所得の計算は、下記の算式で計算します。

(返礼品の時価) ― 50万円

※他に一時所得がある場合、すべての一時所得の収入金額の合計額から当該収入を得るために支出した金額の合計額を差し引いた後に、特別控除額(50万円)を差し引きます。

※総所得金額に算入される一時所得の金額は、上記で計算した一時所得の金額に2分の1を乗じた金額となります。

※特産品は寄附額の30%を目安として交付されますので、寄附額の30%で計上となります。

(5)譲渡所得(総合課税)で計上するもの

①金地金の売却収入

金地金を売却したことによる収入は、原則、総合課税の譲渡所得として確定申告が必要となります。総合課税の譲渡所得の計算は、下記の算式で計算します。

(金地金の売却収入 - 金地金を取得した際の費用 - 売却するためにかかった費用) - 50万円

※他に総合譲渡所得に該当するものがある場合、全ての総合譲渡所得の収入金額の合計額から譲渡した資産の取得費と当該収入を得るために支出した金額の合計額を差し引いたあと、特別控除額(最高50万円)を差し引きます。(以下、差し引き後の金額を「総合課税の譲渡所得の金額」といいます。)

なお、金地金の譲渡による所得について生じた損失は、他の所得との損益通算はできません。(他の総合課税の譲渡所得に該当する一定のものにつき損失が生じていることによって、総合課税の譲渡所得の金額がマイナスとなる場合には、確定申告することにより、そのマイナスとなる金額を他の総合課税の所得から差し引くことができます。)

※所有期間が5年を超えるものの場合、総所得金額に算入される総合譲渡所得の金額は、上記で計算した総合譲渡所得の金額に2分の1を乗じた金額となります。

※なお、金地金、プラチナ地金、金貨、プラチナコインの売却(銀地金やジュエリーなどの製品は対象外)については、1回の取引の支払金額(税込)が200万円を超える場合には、金地金等(上記対象商品)を買い取る側の業者(銀行、貴金属商など)が税務署に支払調書を提出することになります。

(6)譲渡所得で計上するもの

①上場廃止になった株式の売却収入

株式公開買付(TOB)の成立後に、上場廃止となった株式をTOBによる買付者に買い取られた場合などには、一般株式等の譲渡所得として確定申告が必要となります。一般株式等の譲渡所得の計算は、下記の算式で計算します。

(一般株式等の売却収入 - 一般株式等を取得した際の費用 - 売却するためにかかった費用)

②相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例について

相続や遺贈により取得した財産を相続開始日から3年10か月の期間中に譲渡した場合には、その譲渡した資産の取得費に下記の算式で計算した金額を加算することができます。 

(その者の相続税額)×(その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額)

/(その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)

(7)先物取引に係る雑所得で計上するもの

①外国為替証拠金取引(FX)による収入   

外国為替証拠金取引(FX)による収入は、先物取引に係る雑所得等として確定申告が必要となります。

(8)退職所得で計上するもの

①退職金の収入

退職により勤務先から受ける退職金や退職手当などの所得は、退職所得に該当します。

退職所得については、退職金などの支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、一般的に、退職所得にかかる所得税等は源泉徴収により課税が済むことになりますので、確定申告書の提出は不要ですが、医療費控除や寄附金控除を受けるなどの理由で確定申告書を提出する場合には、退職所得の金額も確定申告に含める必要があります。

2.まとめ

収入計上の漏れにより、延滞税や過少申告加算税、無申告加算税の課税が発生する可能性があります。収入計上の漏れが発覚した場合には、速やかに申告等のご検討ください。 

(文責:税理士法人FP総合研究所)