【No1031】所有不動産記録証明制度について
令和8年2月2日施行される、「所有不動産記録証明制度」について、ご紹介します。
1.所有不動産記録証明制度とは
令和6年4月1日から「相続登記申請の義務化」が施行され、相続等により不動産を取得した相続人は、相続登記の申請をすることが義務付けられました。また、この施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記申請の義務化の対象となり、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
登記簿は土地や建物ごとに作成されており、これまで全国の不動産を網羅的に把握する仕組みは存在しませんでした。相続登記が必要な不動産を把握しやすくできるよう、所有者本人又は相続人等からの請求に基づき、法務局の登記官が、特定の個人が所有する全国の不動産を一覧的にリスト化して証明する、「所有不動産記録証明制度」が令和8年2月2日施行されます。
2.請求できる人
請求できる人は次のとおりです。
(1) 不動産の所有者本人
(2) 不動産の所有者の相続人
(3) (1)又は(2)の代理人
3.請求・申請方法
請求はお近くの法務局でできます。
所有不動産記録証明書は、請求書に記載された検索条件に記入した「氏名」・「住所」ごとに作成されます。
検索条件の氏名・住所と、不動産の登記簿上の氏名・住所が、一致していない不動産については所有不動産記録証明書に記載されないためご注意ください。
転居されたことがある場合は、請求書の裏面に、現住所と転居前の旧住所を両方記載し請求することで「氏名」・「住所」の不一致による所有不動産記録証明書の記載漏れを防ぐことができます。

(政府広報オンラインより 法務省「所有不動産記録証明書交付請求書」様式)
4.まとめ
従来の方法として、各市町村役場が発行する「名寄帳」で所有不動産を調査する方法がありました。この方法では、不動産が所在する市区町村ごとに名寄帳を取得する必要があり、相続人がその市区町村に不動産があることを知らなかった場合、相続財産の計上漏れが生じる可能性がありました。
令和8年2月2日施行される、「所有不動産記録証明制度」では、全国の登記情報を一元的に検索・証明できるため、被相続人が所有している不動産全体を把握することができるようになります。
(文責:税理士法人FP総合研究所)