【No1033】極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置(特定の基準所得金額の課税の特例)の改正について
自由民主党・日本維新の会による令和8年度税制改正大綱が、12月19日に公表されています。
今回は税制改正内容のうち、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置についてご説明します。
(1)極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の制度の概要
制度の概要
株式や不動産の譲渡に係る所得については分離課税として15%の所得税が課税されることとなりますが、分離課税による所得が多い場合、超高額所得者でも所得税の負担率が低くなるという問題がありました。
上記のような問題に対する税負担の公平性の観点から、令和5 年度の税制改正において極めて高い水準の所得に対する負担の適正化のための措置が設けられ、一定の所得を超える場合に追加の税負担が生じることとなりました。
(2)計算式
この特例による所得税の課税については「特定の基準所得の課税の特例に関する適用判定書兼税額計算書」に基づいて下記の算式により計算されます。
| (基準所得金額※1 - 特別控除額) × 税率 - 基準所得税額 |
※1 総合所得、分離所得、山林所得及び退職所得の各所得を合算した金額となります。
また、源泉徴収することを選択した特定口座内における上場株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る配当所得等など、確定申告不要制度を適用して確定申告に含めないことを選択できる所得についても、同制度の適用がないものとして所得金額を計算します。
なお、利子所得などの源泉分離課税の対象となる所得、NISA制度などによる非課税とされる所得については含まないものとなります。
※2 本特例の適用がないものとして仮で申告書を作成した場合における税額となります。
(3)改正内容及び改正前後における税負担額や課税対象となる分岐点の変化
①改正内容
今回の税制改正において税負担の公平性の確保を図る観点から、下記のとおり基準所得金額から控除する特別控除額の引き下げ及び税率の引き上げが行われることとなり、これらの改正は令和9年分の所得税から適用されることとなります。

②税負担額の変化
納税者の所得について、上場株式の譲渡による所得金額15億円のみとする場合の改正前後の税負担額は下記のとおりとなり、改正後における税負担額が大幅に増加することとなります。
<改正前>
(15億円 - 3.3億円) × 22.5% - 2.25億円 = 3,825万円
<改正後>
(15億円 - 1.65億円) × 30.0% - 2.25億円 = 17,550万円
③課税対象の分岐点の変化
申告内容が分離課税の所得のみである場合の課税対象の分岐点について改正前では9.9億円であったのに対し改正後は3.3億円が課税対象の分岐点となります。上記計算式でも記載した通り、確定申告不要制度を適用して確定申告に含めないことを選択できる所得についても含めて計算することとなるため、多額の株式譲渡や配当による所得がある納税者については注意が必要となります。
(文責:税理士法人FP総合研究所)