【No1039】居住用家屋と敷地の範囲
個人が居住用財産(家屋または土地)を譲渡した場合、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例があります。
加えて、居住用財産の所有期間が、売却年の1月1日において10年を超えている場合、譲渡所得の税率が軽減される特例も設けられています。
また、これらとは別に、被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例(空き家特例)もあり、これらの特例の対象となる居住用家屋と敷地の範囲について、その取り扱いの違いも含めて解説します。
1.居住用家屋
個人がその居住の用に供している家屋(当該家屋のうちにその居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限る。)をいい、その者がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限られます。(措令20の3)
また、その居住の用に供している家屋とは、その者が生活の拠点として利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除く。)をいい、これに該当するかどうかは、その者及び配偶者等の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定することとされています。(措通31の3-2)
なお、形式的に独立した2棟の家屋でも、単に2棟であるから居住用家屋を二以上所有していると判断するのではなく、その2棟の家屋の構造、設備もしくは規模、家族の構成もしくは生計の状況または家屋の使用状況等から見て、2棟の家屋が一体として一の機能を有する一構えの家屋であるかどうかを判定します。(回答事例による資産税質疑応答集)
例えば、1棟の建物が藏や倉庫など居住用建物ではなく、居住用建物の付属的建物であれば、両者は一つの家屋として特例の適用対象となります。
<空き家特例の取り扱い>
空き家特例における居住用家屋の判定は上記に準じて行いますが、被相続人の居住の用に供されていた家屋が複数の建築物からなる場合であっても、当該被相続人が主としてその居住の用に供していたと認められる一の建築物のみが特例の対象となります。(措令23⑩、措通35-10)
例えば、主として被相続人の居住の用に供されていた母屋のほか、倉庫、藏、車庫等の複数の建築物から構成されている場合、居住用財産の3,000万円控除や軽減税率の特例とは異なり、母屋のみが空き家特例の対象となる「被相続人居住用家屋」に該当します。
2.居住用家屋の敷地
譲渡した土地が居住の用に供している家屋の「敷地」に該当するかどうかは、社会通念に従い、当該土地が当該家屋と一体として利用されている土地であったかどうかにより判定します。(措通31の3-12)
2棟の建物が一つの居住用家屋と判定できる場合には、その敷地全体について特例の適用を受けることができます。
<空き家特例の取り扱い>
空き家の敷地が、用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地である場合、当該土地の面積に、被相続人居住用家屋とそれ以外の建築物の床面積の合計のうちに、被相続人居住用家屋の床面積が占める割合を乗じて計算した面積部分が、被相続人居住用家屋の敷地となります。(措令23⑪、措通35-13)
なお、被相続人居住用家屋とその敷地について空き家特例を適用する場合であっても、空き家特例の対象とならない家屋や敷地については、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(相続税の取得費加算)の適用を受けることができます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)