【No1043】食料品の「消費税0%」がお店に与える影響について
高市首相が公約として掲げた「2年間にわたり食料品の消費税を0%にする」という案が注目を集めています。私たち消費者にとっては大変ありがたいお話ですが、実は商品を販売するお店側には、税金の計算上とても複雑な影響が生じます。
1. 「非課税」ではなく「免税」になる理由
法律上、同じ0%でも「非課税」と「免税」の2種類があります。
(1)非課税
国内において事業者が事業として対価を得て行う取引であっても、そもそも消費税をかけるのに馴染まないもの(土地の売却や有価証券など)や、社会的な配慮から税金をとるべきではないもの(保険診療や住宅の家賃など)が対象です。
非課税とされる取引には消費税が課税されないため、非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則としてその仕入れに係る消費税額を控除することができません。
(2)免税
本来は消費税がかかる「課税取引」ですが、特別な理由(輸出など)で「税率を0%にする」という扱いです。
免税取引のために行った課税仕入れについては、原則として仕入れに係る消費税額を控除することができます。
今回の消費税0%の対象は、現在軽減税率が適用されている飲食料品で、「非課税」ではなく、「免税」扱いとなる予定です。もし「非課税」にしてしまうと、お店側は商品を仕入れる際などにかかった消費税を差し引くことができなくなり、お店の負担が増加するためです。
2. 立場によって変わるお店への影響
この仕組みにより、お店の立場によって以下のような違いが生まれます。
(1)スーパーなどの食品業界
お店はお客さんから消費税をもらいませんが、お店自身が経費などで支払った消費税は全額差し引くことができます。そのため、食品の流通に関わる多くの企業(課税事業者)は、国から税金が戻ってくる(還付申告になる)と予想されています。
(2)飲食店(外食産業)
消費税の負担としては従来と変化はありません。しかし、店内飲食(10%)と持ち帰り・食料品(0%)の価格差が従来以上に広がるため、消費者心理により、客数減少につながる恐れが考えられます。
(3)小規模なお店(免税事業者)
消費税の納税を免除されている小さなお店は、今まで商品価格に上乗せできていた消費税分(益税)を受け取れなくなります。しかし経費にかかる消費税は自己負担のままとなるため、実質的には増税と同じ負担を背負うことになります。
3. 今後の見通し
政府の社会保障国民会議では、こうした打撃を受ける外食産業への対応や、「給付付き税額控除(控除しきれない場合に給付金が出る仕組み)」の導入について並行して議論が進められています。早ければ2026年度中に、または2027年度から食料品の消費税0%が実現する可能性があります。
(文責:税理士法人FP総合研究所)