【No517】所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い ~延払い基準廃止後~
令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)が廃止されましたが、賃貸人における処理にかかわらず、賃借人において会計上賃貸借処理が可能な場合には、引き続き分割控除して差し支えないことになりました。
1.所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い(更新)
国税庁は令和7年5月26日に質疑応答事例(消費税)の「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」を更新し、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)が廃止された後の当該取扱いの継続を以下のように明確にしました。
移転外リース取引については、リース資産の引渡し時にリース資産の譲渡(売買)があったものとして取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することになります。
ただし、移転外リース取引につき、賃借人が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)しているときは、これによって差し支えありません。
なお、令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)が廃止されましたが、賃貸人における処理にかかわらず、賃借人において会計上賃貸借処理が可能な場合には、引き続き分割控除して差し支えありません。
2.賃貸借処理に基づいて分割控除している場合の留意点
(1)仕入税額控除の時期を変更することの可否
【設例】賃貸借処理しているリース期間が3年の移転外リース取引(リース料総額990,000円)
①リース期間の初年度にその課税期間に支払うべきリース料(330,000円)について仕入税額控除を行い
②2年目にその課税期間に支払うべきリース料と残額の合計額(660,000円)について仕入税額控除を行う
上記の処理は認められません。
(2)簡易課税から原則課税に移行した場合等の取扱い
次の①②のような場合のリース期間の2年目以降の課税期間については、その課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除することができます。
①リース期間の初年度において簡易課税制度を適用し、リース期間の2年目以降は原則課税に移行した場合
②リース期間の初年度において免税事業者であった者が、リース期間の2年目以降は課税事業者となった場合
出典:国税庁 質疑応答事例(消費税)「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」(令和7年5月)
(文責:税理士法人FP総合研究所)