【No520】障害者相談支援事業等に係る委託事業の消費税の取扱い

「社会福祉法」に基づく社会福祉事業は消費税が非課税とされています。一方で、「障害者総合支援法」を根拠として、市町村が行う地域生活支援事業である障害者相談支援事業は、社会福祉事業に該当しないため、当該事業は消費税の課税対象となります。

1.概要

令和5年10月4日付けの事務連絡で、こども家庭庁及び厚生労働省より「障害者相談支援事業等に係る社会福祉法上の取扱い等について」が発出されました。

この事務連絡において、障害者相談支援事業等は社会福祉事業に該当しないため、消費税の課税対象であることが示されました。

従来、委託先である自治体も受託法人も、障害者相談支援事業等は社会福祉事業に該当するものと誤認し、消費税は非課税として取り扱っていたため、多くの民間法人において多大な影響が出ています。

2.社会福祉事業に該当しない事業(消費税の課税対象となる事業)

社会福祉事業に該当しない(消費税の課税対象となる)具体的な事業は以下の通りです。

(1)障害者総合支援法第77条第1項第3号を根拠として市町村が行う障害者相談支援事業

(2)障害者総合支援法第77条第1項第3号関係

           ・住宅入居等支援事業(居住サポート事業)

(3)障害者総合支援法第77条の2関係

           ・基幹相談支援センターを運営する事業(基幹相談支援センター等機能強化事業を含む)

(4)障害者総合支援法第78条第1項関係

     ・障害児等療育支援事業

     ・発達障害者支援センターを運営する事業

     ・高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業

(5)その他

     ・医療的ケア児支援センターを運営する事業

3.今後の対応

今後の対応として、受託法人においては、委託先である自治体と協議して委託料に係る消費税相当額について追加で支払いを受けるとともに、所轄税務署との協議の上、消費税の修正申告を行う必要があります。

消費税の追加支払いや修正申告の期間は、税務署や自治体との協議によりますが、自主的に修正申告を行う場合は、基本的には過去5年分の修正が必要になると考えられます。

実際に弊所顧問先でも、昨年の早い段階で自治体及び税務署と事前協議の上、過去5年分の消費税の修正申告を行うとともに、自治体から当該消費税相当額の支払いを受ける旨の確認を行っています。

(文責:税理士法人FP総合研究所)