【No541】通勤手当の非課税限度額が引き上げられました

令和7年11月19日に所得税法施行令の一部を改正する政令が公布され、通勤のため自動車などの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。

1.改正後の非課税限度額

改正後の1か月あたりの非課税限度額は、次のとおりです。

なお、今回の改正の対象となるのは、通勤距離(通勤経路に沿った長さ)が片道10㎞以上である場合のマイカー通勤手当の非課税限度額です(下表の太枠内)。

2.改正後の非課税限度額の適用について

今回の改正は令和7年11月19日に施行されましたが、改正後の非課税限度額は、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当(注)について適用されます。

なお、次に掲げる通勤手当については、改正後の非課税限度額は適用されません。

(1)令和7年3月31日以前に支払われた通勤手当

(2)令和7年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で同年4月1日以後に支払われるもの

(3)(1)又は(2)の通勤手当の差額として追加支給されるもの

(注)「令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」とは、それぞれ次に掲げる日が令和7年4月1日以後のものをいいます。

① 契約又は慣習等により支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日

② 給与規程の改訂が既往に遡って実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧通勤手当の差額に相当する通勤手当(令和7年4月1日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除きます。)で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日

3.改正前に支給している「令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」について

令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当で、改正前(令和7年11月19日まで)に支払われたものについては、遡って税額の再計算を行う必要はなく、本年の年末調整の際に、改正後の非課税限度額を適用した場合に過納付となる税額を精算することになります。

(注1)既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である方については、この精算の手続は不要です。

(注2)年の中途に退職した人など本年の年末調整の際に精算する機会のない方については、確定申告により精算することになります。

4. 年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例

【具体例】

・自動車を使用して通勤している従業員(通勤距離:片道50km)

・給料300,000円、通勤手当30,000円を毎月支給(各月の給与支給日:25日)

(国税庁公表資料「通勤手当の非課税限度額の改正について」より抜粋)

(文責:税理士法人FP総合研究所)