【No545】令和8度 税制改正大綱 ~ 税制改正の要旨(法人版)
今年の税制改正大綱は、物価高への対応、「強い経済」の実現に向けた対応、地方の伸びしろの活用・暮らしの安定、公平かつ円滑な納税のための環境整備等の点からとりまとめられています。法人関連の改正に重点をおきつつ、税務担当者として知っておきたい税目毎の改正について一覧にまとめてみました。
なお、詳細については、次号からのFPニュースをご参照ください。
令和8年度税制改正の要旨(法人版)
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【法人税】
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Ⅰ |
「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設 生産等設備を構成する一定規模以上の「特定生産性向上設備等(仮称)」に該当するもの即時償却と取得価額の税額控除との選択適用が認められます。
※控除限度額:法人税額×20% ※控除限度超過額:3年間の繰越し可能 その他要件 特定生産性向上設備等のであることの基準に適合することについて、令和11年3月31日までの間に経済産業大臣の確認を受け、その確認を受けた日から同日以後5年を経過する日までに、取得等し事業の用に供したものに限られます。 導入計画の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者は5億円以上)であり、年平均の投資利益率が15%を見込まれる計画であることが必要です。 地域未来投資促進税制・中小企業経営強化税制(繰越税額控除は可)カーボンニュートラル投資促進税制との併用不可。 中小企業者等以外は、賃金や減価償却費等についても要件があります。 |
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Ⅱ |
中小企業の少額減価償却資産の取得価額の特例等を見直しの上、3年延長 1台又は1基の取得価額が30万円未満→40万円未満に引上げ 常時使用する従業員の数が400人を超える法人が除外されます。 |
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Ⅲ |
賃上げ促進税制の見直し ①大企業向けは適用期限到来前に廃止 ②中堅企業(常時使用する従業員の数が2,000人以下)は継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合を4%(現行:3%)に引上げの見直しの上、適用期限到来にて廃止 ③中小企業は維持 ④中堅企業及び中小企業ともに教育訓練費増加に係る上乗せ要件を廃止 |
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Ⅳ |
研究税制の見直し ①産業競争力強化法の「重点産業技術試験研究費の額」について、原則40%の税額控除当期の法人税額の10%を上限とし、控除限度超過額は3年間の繰越し ②一般型について、控除率カーブ及び控除上限の変動措置について見直し 上限額14%(原則10%)とする適用期限を3年延長
③中小企業技術基盤強化税制について、3年間延長し、3年間の繰越税額控除の新設 ④海外への委託研究について、一定の制限(令和8年度70%、令和9年度60%、令和10年度50%)を設ける見直し(「医薬品等」を除く) |
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Ⅴ |
企業グループ間の取引に係る保存文書の整備 関連者との間で特定取引を行った場合、その取引に関する取引関連書類等に資産又は役務の提供の明細、支払対価の額の計算の明細等について必要な事項の記載又は記録がないときは、その記載又は記録がない事項を明らかにする書類を取得し、又は作成し、かつ、これを保存することが義務付けられます。 書類の保存が法令の定めに従ってないことは、青色申告の承認の取消事由等となります。なお、取引関連書類とは、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類(電磁的記録含む)等です。 |
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Ⅵ |
オープンイノベーション促進税制の見直し M&A型における対象株式の範囲の追加、特別勘定の取崩方法の見直しを行った上で、適用期限を2年延長 |
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Ⅶ |
事業承継税制の特例措置の計画の提出期限1年6か月延長「令和9年9月末」まで (個人版:提出期限2年6か月延長「令和10年9月末」まで) |
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Ⅷ |
①中小企業投資促進税制における工具の取得要件(1台又は1基の取得価額) 30万円以上の工具の取得価額の合計額120万円以上の要件:40万円以上120万円 ②中小企業経営強化税制における工具及び器具備品の取得要件(1台又は1基の取得価額) 現行30万円から40万円以上に引上 ③特定事業継続力強化税制における器具備品の取得要件(1台又は1基の取得価額) 現行30万円から40万円以上に引上 |
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Ⅷ |
特定資産の買換えにかかる期限延長と一部見直し 長期所有(10年超)の土地、建物等から国内の土地、建物等への買換えについて、買換資産のうち、建物及び附属設備を特定施設の用に供される建物及びその附属設備に、構築物を特定施設に係る事業の遂行上必要なものに、それぞれ用途制限がされます。 |
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【消費税】 |
Ⅰ |
国境を超えた電子商取引に係る課税の見直し ⓵課税対象の見直し:「特定少額資産の譲渡」(仮称)を課税対象 ②物品販売に係るプラットフォーム課税の導入 ③特定少額資産販売事業者登録制度の創設 |
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Ⅱ
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適格請求書等保存方式に係る経過措置の見直し ⓵事業者免税点制度に係る特例 2割特例について、 個人事業者に限り納税額を売上税額の3割としたうえで、令和10年に含まれる課税期間まで延長 ②免税事業者等からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置を2年延長
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一の免税事業者からの課税仕入れの合計額が年間で1億円(改正前:10億円)を超える場合には、その超える部分の課税仕入れについては、上記の措置の適用は不可 |
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【資産税】
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Ⅰ |
「貸付用不動産の評価方法」の見直し 被相続人等が課税時期前5年以内に取得等をした一定の貸付用不動産については、課税時期における通常の取引価額に相当する金額(取得価額)により評価 |
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Ⅱ |
教育資金の一括贈与非課税措置について、令和8年3月31日延長せずに終了 |
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Ⅲ
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NISAの対象年齢を0歳から17歳(18歳から成人NISAに移行)に拡充し、国内株式指数を追加 :適用開始日:2027年(令和9年)1月1日 |
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Ⅳ |
暗号資産の分離課税化(現在:総合課税) 暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等(特定暗号資産)の譲渡等については、分離課税20.315%の課税 |
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【所得税】
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Ⅰ |
基礎控除・給与所得控除の引上げ58万→62万(年収の壁178万へ引上げ) ①一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件58万→62万 ②ひとり親の生計を一にする子の総所得金額要件58万→62万 ③勤労学生の合計所得金額要件85万→89万 ④家内労働者等の必要経費に算入する最低保障額65万→69万 |
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Ⅱ |
住宅ローン控除の適用期限の5年延長 既存住宅の利用促進、床面積要件の緩和(40㎡以上に引き下げ) 災害危険区域等において新築された家屋については、住宅ローン控除の適用対象外 |
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Ⅲ |
青色申告特別控除の見直し ①正規の簿記の原則に従って記載している場合
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マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、以下の措置について見直し (以下の②及び③の措置については、法人税についても同様) ①優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例 ②換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例 ③特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円の特別控除 ④移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入制度の適用対象となる収用その他やむを得ない事由の発生に伴い資産の移転等の費用に充てるための金額の交付について、やむを得ない事由の追加 ⑤完全子法人株式等に係る配当等の課税の特例の適用対象外となる内国法人の範囲に係る措置 ⑥割引債の差益金額にかかる源泉徴収等の特例について、支払を受ける割引債の償還金につき所得税の納税義務者となる内国法人の範囲の見直し |
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自動車等の通勤手当に係る非課税限度額の引上げ |
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極めて高い水準の所得に対する負担の適正化の見直し |
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食事支給に係る非課税限度額 →7,500円 |
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地方税 |
Ⅰ |
新築住宅に係る固定資産の税額の減額措置の見直しの上、5年延長 床面積要件の上限280㎡→240㎡以下/下限50㎡→40㎡以上 新築の認定長期優良住宅、耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税についても |
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Ⅱ |
固定資産税の免税点の引上げ 家屋に係る免税点を20万→30万円/償却資産税 |
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Ⅲ |
ふるさと納税制度の見直し 地方公共団体が実施する事業に活用できる寄附金の割合を高められるよう、その割合を60%以上とするとともに、その使途の公表を認めます。 高所得者について所得に応じて上限なく増える特例控除額について、定額上限(給与収入1億円相当)が設けられます。 |
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その他 |
Ⅰ |
防衛力強化に係る財源確保のための税制 (令和9年分以後の課税期間より) 「防衛特別所得税(仮称)」について、所得税額に対して税率1%の新たな付加税 家計の負担が増加しないよう、復興特別所得税の税率が1%引き下げられ1.1%となりますが、課税期間は令和29年12月31日となり、10年延長されます。 |
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※文中の矢印⤴⤵は、改正前との私見的な比較であり、納税者の現況により異なることがあります。
(注)上記内容は大綱の段階であり、令和8年1月に召集される次期通常国会に提出され、審議されます。最終的には令和8年3月頃に発表される法案をもとに国会を通過して初めて法律となりますので、現段階が確定ではないことをご了承下さい。
(文責:税理士法人FP総合研究所)