【No576】義援金を支払った場合の税務上の取扱い
令和8年熊本地震により被害を受けられた皆様方に心からお見舞い申し上げます。今回は、災害により被害を受けられた方を支援するために、災害対策本部等に義援金や寄附金(以下「義援金」といいます。)を支払った場合の税務上の取扱いについて紹介いたします。
1.被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部等に対して支払った場合
(1)個人の場合
「特定寄附金」に該当し、寄附金控除(所得控除)の対象となります。
なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として個人住民税の寄附金税額控除の対象となり、原則としてふるさと納税に該当します(ワンストップ特例制度の適用ができます。)。
(2)法人の場合
「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。
2.日本赤十字社、社会福祉法人中央共同募金会等に対して支払った場合
(1)個人の場合
日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会等が被災者への支援を目的として専用口座を設けて義援金を募集している場合に、その義援金が最終的に地方公共団体(義援金配分委員会等)に対して拠出されるものであるときは、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として個人住民税の寄附金税額控除の対象となり、原則としてふるさと納税に該当します(ワンストップ特例制度の適用はできません。)。
(2)法人の場合
その義援金が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。
3.被災地の救援活動等を行っている認定NPO法人等に対して支払った場合
(1)個人の場合
「認定NPO法人等に対する寄附金」に該当し、寄附金控除又は寄附金特別控除(税額控除)の対象となります(いずれかの選択適用)。
(注)ふるさと納税には該当しません。
(2)法人の場合
「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、その範囲内で損金の額に算入されます。
また、認定NPO法人等以外の法人等に対して義援金を支払った場合(「国等に対する寄附金」及び「指定寄附金」に該当するものを支払った場合を除きます。)には、次に掲げるような支払先の区分に応じて、税務上の取扱いが異なります。
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支払先の区分 |
個人の方の取扱い(所得税) |
法人の取扱い(法人税) |
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公益社団法人・公益財団法人の場合(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限ります。) |
寄附金控除の対象となります(支払先が一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人である場合には、寄附金特別控除との選択適用が可能です。)。 |
特定公益増進法人に対する寄附金として、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。 |
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一般のNPO法人、職場の有志で組織した団体などの人格のない社団等の場合 |
寄附金控除等の対象となりません。 |
一般の寄附金として、損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。 |
※認定NPO法人とは、政府から組織の運営や事業活動において公益性が高いと認められたNPO法人のことをいいます。また、該当する法人については、内閣府NPOホームページから確認することができます。
4.募金団体を通じた義援金
募金を取りまとめる団体(以下「募金団体」といいます。)が個人、法人から義援金を預かる場合でも、その義援金が、最終的に地方公共団体に拠出されるものであれば、募金団体に対して義援金を支払った個人の方にあっては「特定寄附金」、法人にあっては「国等に対する寄附金」として取り扱われ、税制上の優遇措置の適用を受けることができます(上記2と同様の取扱いとなります。)。
5.その他、法人が被災者に対して行う寄附行為
(1)被災された取引先に対する寄附
法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金の額に算入されます。
(2)法人が自社製品等を被災者に提供した場合
法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入されます。
6.手続き
(1)個人が控除を受けるための手続き
寄附金控除又は寄附金特別控除に関する事項を記載した確定申告書に寄附金の受領証など所定の書類を添付する必要があります。
(2)法人が損金算入するための手続き
寄附金を損金に算入するには、確定申告書にその金額を記載し、寄附金の明細書など所定の書類を添付するとともに、所定の書類を保存している必要があります。
7.控除額等の計算方法
(1)寄附金控除(所得税)
その年中に支出した特定寄附金の額の合計額※-2千円
※特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度です。
(2)寄附金特別控除(所得税)
①認定NPO法人等寄附金特別控除
(その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額-2千円)×40%
②公益社団法人等寄附金特別控除
(その年中に支出した公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額-2千円)×40%
(注1)寄附金の額の合計額は原則として所得金額の40%相当額が限度です。
(注2)特別控除額の合計額はその年分の所得税額の25%相当額が限度です。
(注3)上記算式中の2千円は、寄附金控除と寄附金特別控除とを合わせた金額です。
(3)寄附金税額控除(個人住民税)
① 住民税(基本分)
(寄附金-2千円)× 10%
② 住民税(特例分)
(寄附金-2千円)×(100%-基本分(10%)-所得税の税率(0%~45%))
※住民税の所得割額の2割が上限です。
①+② = 控除額
(4)特定公益増進法人に対する寄附金の特別損金算入限度額(法人税)
{所得金額×(6.25/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(3.75/1000)}×(1/2)
※損金に算入されなかった金額は、(5)の一般の寄附金の額に含めます。
(5)一般の寄附金の損金算入限度額(法人税)
{所得金額×(2.5/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(2.5/1,000)}×(1/4)
(文責:税理士法人FP総合研究所)