【No275】返戻再請求のオンライン化について

 令和5年3月請求分から、オンライン請求医療機関・薬局(以下「オンライン請求医療機関等」という。)におけるレセプトの返戻再請求はオンラインで実施するという旨が、厚生労働省より通知されております。それにより、令和5年4月以降にオンライン請求医療機関等が行うレセプトの返戻再請求は、診療・調剤年月に関わらず、オンラインで実施する必要があります。今回はその実施における留意点等をご案内します。

1.オンライン化

 紙媒体で返戻されたレセプトに係る再請求を除き、オンライン請求医療機関等が令和5年4月以降に行う再請求はオンラインによるものとなります。当初は令和3年10月から、審査支払機関が行っているオンライン請求医療機関等への紙媒体による返戻を廃止し、オンラインによる返戻のみとすることが予定されておりましたが、変更となっております。

厚生労働省返戻再請求及び再審査申出のオンライン化等について(周知依頼)(保連発0930第1号)」参照


2.オンライン請求のメリット

 メリットとして具体的に以下のポイントが挙げられます。 
➀電子レセプトとしての一元管理が可能となる。

②紙媒体による請求における搬送時の破損や紛失の問題がなくなる。また、セキュリティが確保されたネットワーク回線を使用するため、安全な請求が可能となる。

③事務的な記録誤り等により返戻となるエラーをチェックすることが出来る。また、当月のうち(12日まで)にエラーを訂正し再提出することが可能になる。

厚生労働省オンラインによる返戻再請求の実施についてのご案内」参照

3.具体的な流れ

 事務の流れの一例を紹介します。

⓪’返戻レセプトがあることを確認する。

➀オンライン請求用端末を使用して、オンライン請求システムから返戻データをダウンロードする。 

②ダウンロードした返戻データを、レセプトコンピュータ(以下、レセコン)へ取り込む。 

③返戻データの確認と修正を行う。

④レセコンで該当するレセプト(入力データ)を修正し、再請求用のレセプトデータ(以下、再請求データ)を作成する。

⑤再請求データをオンライン請求用の端末で読み込む。 

⑥再請求データについて、当月請求のレセプトと併せて、オンライン請求用端末からオンライン請求システムへ送信し、再請求を行う。 

厚生労働省オンラインによる返戻再請求の実施についてのご案内」参照及び画像引用

4.やむを得ない場合の必要な対応

 「やむを得ない場合の必要な対応」(経過措置)として、オンライン請求医療機関等がオンラインによる実務に円滑に移行するために必要なシステム事業者の対応が間に合わないなどの場合、当該医療機関等又は保険者は、個別に審査支払機関に届出を行った上、引き続き、紙媒体による返戻再請求ができることとされています。 

 紙返戻の廃止後は、返戻された紙レセプトを提出することによる再請求が実施できないこと等を踏まえ、厚生労働省と経過措置の対象となる関係機関は引き続きオンライン化の取り組みを行います。

 その上で、令和6年9月末に紙返戻及び上記の「やむを得ない場合の必要な対応」の廃止が予定されています。

厚生労働省「電子情報処理組織等を用いた費用の請求等に関する取扱いについて(保連発0123第1号)参照

5.Q&A

問1:オンライン請求医療機関等が行う返戻再請求について、「紙媒体で返戻されたレセプト(※)に係る再請求を除き」オンライン化することとされている が、「紙媒体で返戻されたレセプト(※)」とは具体的にどういったものを指すか。

 具体的に「紙媒体で返戻されたレセプト(※)」とは、審査支払機関から、紙媒体のみで返戻される場合のレセプトを指します。

 (※)医療機関等から公費請求分が摘要欄において請求され、審査支払機関から保険者等に対して請求されたレセプトなど、審査支払機関のシステムにおいて紙媒体に変換されたレセプトのことを指します。一方で、令和5年4月以降も、オンライン請求医療機関等に対して、紙媒体とオンラインによる返戻がなされることとなるが、こうした場合の返戻再請求はオンラインによることとなります。

問2:「令和5年3月原請求分」から返戻再請求及び再審査申出をオンライン化することとされているが、具体的には医療機関・薬局や保険者はいつからオンラインによる対応を行う必要があるか。 

 オンライン請求医療機関等や保険者については、オンライン請求医療機関等が審査支払機関に対して 令和5年3月に行う原請求(通常2月診療分について行うことが想定される。)に係る返戻再請求や再審査申出の時期以降、オンラインによる対応が求められます。

 具体的には、診療年月にかかわらず、令和5年4月以降に行う返戻再請求についてオンラインで対応する必要があります。 なお、審査支払機関から令和5年3月以前に返戻された明細書についても、令和5年4月以降にオンライン請求医療機関等が返戻再請求し、オンラインで対応する必要があることに留意する必要があります。

問3: 令和5年4月以降にオンラインで返戻再請求をしようとした場合で、オンライン請求システム上のダウンロード期間を超過したため、返戻レセプトをダウンロードできなかったときは、どのような取扱いとなるか。 

   オンライン請求システムにおいては、直近3か月分の処理に係る返戻レセプト(返戻ファイル)をダウンロードすることが可能であり、令和5年4月以降に、オンラインによる返戻再請求を予定するオンライン請求医療機関等においては、 当該期間中に予め返戻レセプト(返戻ファイル)をダウンロードし、これを修正して再請求をする必要があります。

 ただし、令和5年4月からオンラインでの対応を開始する医療機関等にあっては、再請求に当たり、既にダウンロード可能期間が終了したため、令和4年12月処理分以前の返戻レセプト(返戻ファイル)をダウンロードできなかった場合に限り、審査支払機関から紙媒体で返戻されたレセプトを用いて、再請求を行うことができます。

厚生労働省返戻再請求及び再審査申出のオンライン化に関するQ&Aの送付について(その2)」参照

(文責:税理士法人FP総合研究所)