【No391】源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請及び要件に該当しなくなった場合の手続き

医療機関において、特に開院当初は、診療、採用、広報などの様々な業務の対応に追われ、多忙を極めることと思います。毎月発生する源泉所得税の納税事務手続きも、大きな負担の一つではないでしょうか。

今回の医業経営FPNewsでは、給与の支給を受ける従業員数が10人に満たない場合に適用できる源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請手続及び要件に該当しなくなった場合の手続についてご案内します。

1.納期の特例の概要

源泉徴収義務者(給与等の支払者)が、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税(以下、「源泉所得税等」といいます。)は、原則として、給与などを支払った月の翌月10日(※1)までに国に納めなければなりません。ただし、給与の支給人員が常時10人未満(※2)の源泉徴収義務者は、源泉所得税等を半年分まとめて納めることができる特例があります。これを納期の特例といいます。

この特例の承認を受けることで、その年の1月から6月までの源泉所得税等は7月10日、7月から12月までの源泉所得税等は翌年1月20日がそれぞれ納付期限となります。

この特例の適用の対象となる源泉所得税等は、給与や退職金に対する源泉所得税等及び税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬に対する源泉所得税等に限られています。 

※1.納付期限が、土曜日、日曜日、国民の休日、祝日の場合は、その翌日が納付期限となります。

※2.「常時10人未満」であるかどうかは、給与等の支給人員が平常の状態において10人未満であるかどうかにより判定するものとされています(パート、アルバイト等の人数も含まれます。)。つまり、繁忙期には臨時に使用した人数を含めると10人以上となるが、平常は10人未満である場合には、「常時10人未満」であるものとされています。

国税庁 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 参照

国税庁 法第216条《源泉徴収に係る所得税の納期の特例》関係 参照

 

2.納期の特例の承認申請手続

納期の特例の承認を受けるためには、給与の支給を受ける人が常時10人未満であること、かつ「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(以下、「納期の特例申請書」といいます。)を提出する必要があります。この納期の特例申請書の提出先は、給与支払事務所等の所在地の所轄税務署です。

税務署から納期の特例申請書を提出した月の翌月末日までに承認又は却下の通知がなければ、この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月の納付期限分からこの特例が適用されます。

仮に納期の特例申請書を提出した月が2月中であった場合の納付期限は以下のとおりです。

給与等

納付期限

2月支給分

3月10日

3月~6月支給分

7月10日

国税庁 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請 参照

国税庁 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 参照

3.納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出

源泉所得税等の納期の特例の承認を受けている源泉徴収義務者は、納期の特例の要件に該当しなくなった場合(給与の支給人員が常時10人未満でなくなった場合)には、遅滞なく「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出する必要があります。

当該届出書の提出先は、納期の特例申請書の提出先と同様、給与支払事務所等の所在地の所轄税務署です。 

仮に当該届出書を提出した月が、3月中であった場合の納付期限は以下のとおりです。

給与等

納付期限

1月~2月支給分

4月10日(※)

3月支給分

4月10日

4月以後支給分

翌月10日

※1月から2月分は、納期特例分の徴収高計算書を使用し、3月分以降は、一般分(毎月納付用)の徴収高計算書を使用します。

国税庁 源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出 参照

国税庁 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 参照

 

4.さいごに

源泉所得税等の納期の特例の承認を受けることにより、毎月の納税にかかる事務負担が軽減されることが期待できます。一方で、納付回数が年2回になることで、一度の納税額が大きくなること、そして納付期限に対する意識が希薄になる可能性がある点に注意が必要です。

また、納期の特例の要件に該当しなくなった場合は、遅滞なく届出を行い、ご自身の医療機関の正しい納付期限を常に確認し、納付漏れが起きないように注意する必要があります。

(文責:税理士法人FP総合研究所)