【No396】診療報酬改定:短期滞在手術等基本料1について

令和8年度(2026年度)診療報酬改定では、手術の外来移行を促すとともに、実態に即した評価を行う観点から、短期滞在手術等基本料について、対象手術等を追加するとともに、要件及び評価が見直されることになります。

このうち短期滞在手術等基本料1の改定は、入院施設を持たず対象手術等を行っている医療機関の収益に大きく影響する内容となっていますので、その概要についてご説明します。

1.短期滞在手術等基本料1の改定について

日帰り手術等を対象とする「短期滞在手術等基本料1」において、大きな点数の低下が発表されています。

対象手術は、「区分A:主として入院で実施されている手術」と「区分B:それ以外の手術」に分けられますが、今回の改定により後者の点数が以下の通り、従来の約半分に設定されました。

「区分B:それ以外の手術」を実施している医療機関においては、減収が避けられない改定となります。

中央社会保険医療協議会 総会(第647回)議事次第「個別改定項目について」p216参照

2.主として入院で実施されている手術について

外来での実施割合が比較的低く、従来の点数水準が維持されている手術等です。検査項目と手術項目が含まれます。

D287 内分泌負荷試験 1 下垂体前葉負荷試験 イ 成長ホルモン(GH)(一連として)

D291―2 小児食物アレルギー負荷検査

K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 4 長径十二センチメートル以上(六歳未満に限る。)

K048 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 10 手根骨骨内異物除去術

K048 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 11 中手骨骨内異物除去術

K068 半月板切除術

K068―2 半月板切除術(関節鏡下)

K282 水晶体再建術 1 眼内レンズを挿入する場合 イ 縫着レンズを挿入するもの

K282 水晶体再建術 2 眼内レンズを挿入しない場合

K282 水晶体再建術 3 計画的後嚢切開を伴う場合

K474 乳腺腫瘍摘出術 1 長径5センチメートル未満

K474 乳腺腫瘍摘出術 2 長径5センチメートル以上

K508 気管支狭窄拡張術(気管支鏡によるもの)

K510 気管支腫瘍摘出術(気管支鏡又は気管支ファイバースコープによるもの)

K617 下肢静脈瘤手術 1 抜去切除術

K653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 1 早期悪性腫瘍粘膜切除術

K834―3 顕微鏡下精索静脈瘤手術

K841-2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 1 ホルミウムレーザー又は倍周波数レーザーを用いるもの

K841-2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 2 ツリウムレーザーを用いるもの

K841-2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 3 その他のもの

厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】」p.210より引用

3.それ以外の手術について

今回の大幅な改定の対象となるのは以下の手術等になります。

K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 3 長径四センチメートル以上(六歳未満に限る。)

K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 3 長径六センチメートル以上十二センチメートル未満(六歳未満に限る。)

K008 腋臭症手術

K030 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 7 手軟部腫瘍摘出術

K070 ガングリオン摘出術 1 手部ガングリオン摘出術

K093 手根管開放手術

K093―2 手根管開放手術(内視鏡下)

K202 涙管チューブ挿入術 1 涙道内視鏡を用いるもの

K217 眼瞼内反症手術 2 皮膚切開法

K219 眼瞼下垂症手術 1 眼瞼挙筋前転法

K219 眼瞼下垂症手術 3 その他のもの

K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの)

K254 治療的角膜切除術 1 エキシマレーザーによるもの(角膜ジストロフィー又は帯状角膜変性に係るものに限る。)

K268 緑内障手術 6 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術

K282 水晶体再建術 1 眼内レンズを挿入する場合 ロ その他のもの

K616―4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 1 初回(透析シャント閉塞又は高度狭窄の場合)

K616―4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 1 初回(その他の場合)

K616―4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 21の実施後3月以内に実施する場合

K617 下肢静脈瘤手術 2 硬化療法(一連として)

K617 下肢静脈瘤手術 3 高位結紮術

K617―4 下肢静脈瘤血管内焼灼術

K617―6 下肢静脈瘤血管内塞栓術

K653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 1 早期悪性腫瘍粘膜切除術

K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 1 長径二センチメートル未満

K743 痔核手術(脱肛を含む。) 2 硬化療法(四段階注射法によるもの)

K747 肛門良性腫瘍、肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術(肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術に限る。)

K823―6 尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの)

厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】」p.210より引用

4.さいごに

令和8年度(2026年度)の診療報酬改定の施行は6月1日になります。

短期滞在手術等基本料は、短期滞在手術等(日帰り手術及び4泊5日入院による手術、検査及び放射線治療)を行うための環境及び当該手術を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等を包括的に評価したものになりますので、診療報酬改定後は、人件費や薬剤費・医療材料費等の原価率が上がり、利益が減少することになります。

これに対応するには、包括される薬剤や使用する使い捨て器具(ディスポーザブル製品)などの仕入れ単価・種類やスタッフの配置等の業務フローの見直しが必要になるケースも出てくることが予想されます。

厚生労働省「短期滞在手術等基本料の概要」p.1参照

(文責:税理士法人FP総合研究所)