【No1013】ふるさと納税に関するポイント付与の禁止について

近年人気化しているふるさと納税ですが、令和7年10月からふるさと納税のポータルサイトを利用した際にこれまで付与されていたポイントの付与が禁止されます。

(1)改正の背景

ふるさと納税は、平成20年に導入された制度で、自分の好きな自治体に寄附することで、その寄附額の一部が所得税や住民税から控除される仕組みです。地域の活性化や、寄附者の選択の自由度を高めることを目的としていました。

しかし、制度が普及するにつれて、自治体間で寄附金獲得競争が激化し、高額な返礼品や換金性の高い金券、商品券などを提供するケースが増加しました。これに対し、総務省は度々、返礼品の基準(寄附額の3割以下、地場産品であることなど)を設けて是正を求めてきました。

ポイント付与も、この過度な競争の一環と見なされ、特に以下のような問題点が指摘されました。

・換金性の高さ:

ポイントは、実質的に現金に近い形で利用できるため、制度の趣旨である「寄附」から「買い物」へと変質させるおそれがある。

・返礼品基準の回避

ポイントが付与されることで、実質的な返礼率が3割を超えるケースが発生する。

(2)近年の改正

①令和6年10月からは、主に以下の改正が行われました

・返礼品の宣伝規制の強化

返礼品を過度に強調する表現(「お得」「コスパ最強」「おまけ付き」など)や、寄附金額の引き下げ、返礼品の増量キャンペーンなどが禁止されます。ポータルサイトにも適用されるため、自治体は広告宣伝戦略の見直しを迫られます。

・地場産品基準の厳格化

返礼品の「地域との関連性」がより重視されます。例えば、その自治体の区域内で生産された材料を100%使用した加工品や、地産の果物を90%以上使用したジュースなどは認められる一方で、区域内で生産された材料が過半数に満たない商品は返礼品として認められなくなりました。

・宿泊券の提供ルール変更

1人1泊あたりの費用が5万円を超える宿泊施設の利用券を返礼品にする場合、原則として同一県内で展開している宿泊施設に限定されるよう見直しがされました。

②令和7年10月からは、主に以下の改正が行われます

令和7年10月1日からは、ふるさと納税ポータルサイト及びポイントサイトによる、ふるさと納税へのポイント還元が全面禁止となります。

これは、これまでの3割規制の法整備以来の大きな変更であり、特に「お得さ」を重視してふるさと納税を利用していた寄附者や、ポイント還元をインセンティブとしていたポータルサイト、自治体にとっては大きな影響が出ると予想されています。

今回の改正は、ふるさと納税制度が本来の「地域貢献」という趣旨に立ち返り、過度な返礼品競争を抑制することを目的としています。寄附者にとっては「お得度」が下がる可能性もありますが、より地域に密着した返礼品が提供されるようになることが期待されます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)