【No1058】貸付事業用宅地等~相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供されたか否かの判定~
小規模宅地等の特例のうち貸付事業用宅地等は、一定の要件を満たした場合、その宅地等の課税価格に算入すべき価額を200㎡を限度面積として50%減額できる特例になりますが、この貸付事業用宅地等は平成30年度の税制改正で、平成30年4月1日以後の相続又は遺贈により取得した宅地等は、その相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は除くこととされました。(令和3年3月31日で経過措置終了)
今回は、相続開始前3年以内に賃貸されていた建物について建替えが行われた場合の「新たに貸付事業の用に供された」の判定について解説します。
なお、建築中に相続があった場合等については、「【No762】貸家を建替えた場合の小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)について」をご参照ください。
1.「新たに貸付事業の用に供された」の意義
措置法通達69の4-24の3では、「新たに貸付事業の用に供された」とは、下記の場合であることが定められています。
① 貸付事業の用以外の用に供されていた宅地等が貸付事業の用に供された場合
② 宅地等若しくはその上にある建物等につき「何らの利用がされていない場合」の当該宅地等が貸付事業の用に供された場合
例えば、①自宅を貸付事業の用に供した場合や、②建物を新築して貸付事業の用に供した場合等が該当します。しかし、建物の新築が貸家の用に供されていた建物の建替えである場合は、「新たに貸付事業の用に供された」宅地等には該当しない場合があります。
2.継続的に賃貸されていた建物について建替えが行われた場合
① 前提
被相続人は所有する土地建物を貸家の用に供していたが、相続開始前に建物の建替えを行い、完成後直ちに貸家の用に供している。

② 解説
上記の場合、相続開始の前年に建替え後の建物について貸家の用に供していることから、相続開始前3年以内に「新たに貸付事業の用に供された」宅地等に該当すると考えられるかもしれません。
しかし、措置法通達69の4-24の3では、継続的に賃貸されていた建物につき建替えが行われ、建替え後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、賃貸されていたとき(当該建替え後の建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。)のように、一時的に賃貸されていなかったと認められるときは、上記意義②の「何らの利用がされていない場合」に該当しない旨が定められています。
この場合は、「新たに貸付事業の用に供された」のは、建替え前の従前の建物を貸付事業の用に供したときと考えされることから、相続開始前3年以内に「新たに貸付事業に供された」宅地等に該当しないこととなります。
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【措置法通達69の4-24の3(新たに貸付事業の用に供されたか否かの判定)】 措置法第69条の4第3項第4号の「新たに貸付事業の用に供された」とは、貸付事業の用以外の用に供されていた宅地等が貸付事業の用に供された場合又は宅地等若しくはその上にある建物等につき「何らの利用がされていない場合」の当該宅地等が貸付事業の用に供された場合をいうことに留意する。 したがって、賃貸借契約等につき更新がされた場合は、新たに貸付事業の用に供された場合に該当しないことに留意する。 また、次に掲げる場合のように、貸付事業に係る建物等が一時的に賃貸されていなかったと認められるときには、当該建物等に係る宅地等は、上記の「何らの利用がされていない場合」に該当しないことに留意する。 (1)継続的に賃貸されていた建物等につき賃借人が退去をした場合において、その退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、賃貸されていたとき(新たな賃借人が入居するまでの間、当該建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。) (2)継続的に賃貸されていた建物等につき建替えが行われた場合において、建物等の建替え後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、賃貸されていたとき(当該建替え後の建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。) (3)継続的に賃貸されていた建物等が災害により損害を受けたため、当該建物等に係る貸付事業を休業した場合において、当該貸付事業の再開のための当該建物等の修繕その他の準備が行われ、当該貸付事業が再開されていたとき(休業中に当該建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。) (注) 1 建替えのための建物等の建築中に相続が開始した場合には69の4-5の取扱いが、また、災害による損害のための休業中に相続が開始した場合には69の4-17の取扱いが、それぞれあることに留意する。 2 (1)、(2)又は(3)に該当する場合には、当該宅地等に係る「新たに貸付事業の用に供された」時は、(1)の退去前、(2)の建替え前又は(3)の休業前の賃貸に係る貸付事業の用に供された時となることに留意する。 3 (2)に該当する場合において、建替え後の建物等の敷地の用に供された宅地等のうちに、建替え前の建物等の敷地の用に供されていなかった宅地等が含まれるときは、当該供されていなかった宅地等については、新たに貸付事業の用に供された宅地等に該当することに留意する。 |
(文責:税理士法人FP総合研究所)