【No1063】贈与税の申告状況と今後の動向

国税庁より令和7年分の申告状況についての報道発表がありました。今回は贈与税の申告状況と、今後の贈与税の課税のあり方の動向についてご説明します。

1)贈与税の申告状況 

令和7年分の暦年課税による贈与税の申告書を提出した人は391千人で、令和6年から6千人減少しました。申告書を提出した人のうち申告納税額がある人は317千人で令和6年から10千人減少し、申告納税額は4,215億円で令和6年から941億円増加しています。

また、相続時精算課税による贈与税の申告書を提出した人は77千人で、令和6年から1千人減少しました。申告書を提出した人のうち申告納税額がある人は7千人で令和6年から1千人増加しました。申告納税額は823億円で令和6年から162億円増加しています。

【贈与税の確定申告書の提出状況等の推移】

  令和7年分 令和6年分
申告人員 納税人員 申告人員 納税人員
  申告納税額 1人当たり   申告納税額 1人当たり
千人 千人 億円 万円 千人 千人 億円 万円
暦年課税 合計 391 317 4,215 133 397 327 3,274 100
特例税率 196 177   203 184  
一般税率 196 140 194 144
相続時精算課税 77 7 823 1,262 78 6 661 1,146
合計 468 324 5,038 156 474 333 3,935 118

(注1) 翌年3月末日までに提出された申告書の計数となります。

(注2) 暦年課税のうち、特例税率に係る人員には、一般税率との併用者を含みます。

(注3) 相続時精算課税に係る人員には暦年課税との併用者を含みます。

上記の贈与税の申告状況をみると、暦年課税については74千人の人は納税が発生していません。これは、基礎控除額110万円以下での贈与税の申告や住宅取得等資金の非課税の適用を受けた贈与税の申告によるものが多いと考えられます。

また、暦年課税による1人当たりの申告納税額は133万円となっています。財産を分割して贈与することにより、贈与税の負担率を相続税の限界税率以下に抑えた贈与が多数行われているのではないかと考えられます。

【贈与税の負担率の例】                   (単位:円)

項目

一般贈与の場合

特例贈与の場合

① 贈与財産額

7,550,000

8,530,000

② 基礎控除額

△1,100,000

△1,100,000

③ 基礎控除後の課税価格

6,450,000

7,430,000

④ 税率

40%

30%

⑤ 控除額

△1,250,000

△900,000

⑥ 贈与税(③×④-⑤)

1,330,000

1,329,000

⑦ 贈与税負担率(⑥÷①)

17.6%

15.5%

2)今後の動向 

従来は、相続開始前3年間の暦年課税贈与のみ相続財産に加算して相続税が課税されていましたが、税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与から、相続開始前7年間の贈与が相続財産に加算されることになります(具体的には、令和8年12月31日までの相続開始については、結果として改正前と同じく相続開始前3年間の贈与財産が相続財産に加算され、令和9年1月1日以後の相続開始については、令和6年1月1日から相続開始日まで、相続開始日に応じて、相続財産に加算される対象期間が長くなり、令和13年1月1日以後の相続発生については、相続開始前7年間の贈与財産が相続財産に加算されることになります)。

また、相続時精算課税制度においては、税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与については、特別控除額2,500万円とは別に、年間基礎控除額110万円が加えられたことに伴い、申告件数が増加しています。税制改正を受けて相続時精算課税制度を選択するメリットが増えたことから、申告件数が今後も増加する可能性が考えられます。

ただし、相続時精算課税制度を選択すると、以後同じ贈与者からの贈与は、暦年課税贈与による贈与を選択できなくなる点には注意が必要といえます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)