【No759】生産緑地の概要と近年の改正について

 平成4年に指定を受けた生産緑地については、令和4年(2022年)に指定を受けてから30年経過することとなります。そこで、今回は生産緑地の概要と近年行われた改正について解説します。

1.生産緑地とは 

 生産緑地とは、市街化区域内にある農地の宅地化が進行することによる環境悪化等を防止することを目的に、1992年(平成4年)に生産緑地法で定められた土地制度の1つで、農業を継続することを条件に、固定資産税・相続税等の税務上のメリットを受けることのできる農地をいいます。

2.2022年問題について 

 現在、生産緑地指定を受けている農地は、1991年(平成3年)の生産緑地法の改正を受け、1992年(平成4年)に指定を受けたものが大半です。生産緑地指定を受けると30年間の営農義務が課せられ、主たる従事者の死亡や故障を除いては、生産緑地指定を解除するための市町村長への買取り申出をすることができません。この30年目が2022年(令和4年)に該当し、このタイミングで買取り申出を行い、農地を宅地に転用する土地が増え、不動産市場に流入する可能性があり、土地の価額が下落することが懸念されています。これを2022年問題といいます。

3.生産緑地法改正内容 

 上記「2022年問題」が懸念されることを踏まえ、2017年に生産緑地法の改正が行われました。

(1)買取り申出が可能となる始期の延期

 新たに「市町村長は、生産緑地指定から30年を経過する日(申出基準日)が近く到来することとなる生産緑地のうち、その周辺の地域における公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して、当該申出基準日以後においてもその保全を確実に行うことが良好な都市環境の形成を図る上で特に有効であると認められるものを「特定生産緑地」として指定することができる。」とし、特定生産緑地の指定の期限は「申出基準日から起算して10年を経過する日」と規定されています。

 なお、10年経過後は、再度特定生産緑地の指定を受けることができるため、30年経過後は生産緑地の指定を10年ごとに延長することができます。(特定生産緑地の要件や行為制限等は通常の生産緑地と同様です。)

(2)面積要件の緩和

 新たに「市町村は、公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して必要があると認めるときは、前項第2号の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、条例で、区域の規模に関する条件を別に定めることができる。」と規定され、市町村の条例で300㎡を下限に面積要件を引き下げることが可能となりました。(生産緑地法第3条第2項、生産緑地法施行令第3条)

 以前は、一律500㎡以上の面積が必要とされる生産緑地ですが、改正後は市町村によって面積要件が異なる場合も想定されます。

(3)生産緑地地区内で直売所や農家レストラン等の設置が可能に

 改正前は、生産緑地地区では一定の行為制限があり、農産物の生産又は集荷の用に供する施設等を除いては、建築物の新築等が制限されていました。

 改正後では、「当該生産緑地の保全に著しい支障を及ぼすおそれがなく、かつ、当該生産緑地における農林漁業の安定的な継続に資するものとして国土交通省令で定める基準に適合するもの」で、次に掲げる施設の設置が可能となります。

(文責:税理士法人FP総合研究所)