【No962】令和 5 年分の所得税等の確定申告状況とe-Tax の利用状況について

 国税庁より令和5 年分の「申告所得税及び復興特別所得税(以下、「所得税等」と表記)」の確定申告状況について報道発表がありました。今回は所得税等の確定申告状況と e-Tax を利用した所得税等の確定申告書の提出状況についてご説明します。

1.所得税等の確定申告書の提出状況

令和5 年分の所得税等の確定申告書を提出した方は2,324 万人で令和4 年分から1.3%増加しました。そのうち、申告納税額がある方は 668 万 7 千人で令和 4 年分から 2.3%増加し、還付申告の方は 1,350 万7千人で令和 4 年分から1.3%増加しました。申告納税額のある方の申告納税額は4 兆499 億円で令和4 年分から10.0%増加しました。
次に、令和 5 年分の所得税等に係る土地等の譲渡所得の申告をした方は、55 万 5 千人で令和 4 年分から 0.5%増加しました。そのうち所得金額がある方は 37 万 5 千人で令和 4 年分から 0.8%増加し、その所得金額は 6 兆 832 億円で令和4 年分から11.8%増加しました。
また、令和5 年分の所得税等に係る株式等の譲渡所得の申告をした方は、115 万5 千人で令和4 年分から6.7%増加しました。そのうち所得金額がある方は64 万8 千人で令和4 年分から32.6%増加し、その所得金額は5 兆6641 億円で令和4 年分から39.4%増加しました。

【所得税等の確定申告書の提出状況および申告納税額の推移】

注1:令和4 年分、令和5 年分ともに翌年3 月末日までに提出された申告書の計数になります。

【土地等および株式等の譲渡所得の申告状況】

注2:令和4 年分、令和5 年分ともに翌年3 月末日までに提出された申告書の計数になります。
注3:土地等については、総合譲渡所得に係る計数を含みます。
注4:株式等に係る申告人員のうち譲渡損失を翌年以降へ繰り越した方について、令和4 年分は54 万9 千人、令和5 年分は47 万9 千人で、令和5 年分は令和4 年分に比べ12.8%減少しました。

2.e-Tax を利用した所得税等の確定申告書の提出人員

令和 5 年分の所得税等の確定申告人員は 2,324 万人、うち e-Tax による申告人員は 1,604 万 6 千人で、確定申告人員全体のうち 69.0%が e-Tax を利用して確定申告書を提出しており、令和 4 年の 65.1%(令和 4 年分の所得税等の確定申告人員2,295 万1 千人、うちe-Tax による申告人員1,494 万8 千人)から3.9%増加しました。

【所得税等の確定申告書のe-Tax による提出人員】

注5:令和4 年分、令和5 年分ともに翌年3 月末日までに提出された申告書の計数になります。
注6:「自宅等からのe-Tax」には自宅からの納税者本人による提出のほか、税理士による代理送信を含みます。

令和5 年分の所得税等の確定申告では申告人員、納税額ともに増加していますが、申告人員の増加率に比して納税額の増加率が高くなる結果となりました。特に土地等および株式等の譲渡所得についてはその傾向が顕著で、昨今の地価・株価の高騰の影響が見て取れます。
また、e-Tax による申告についても、マイナンバーカード、スマートフォンの活用した申告が増えたことにより、利用人員も前年と比較して増加しています。令和5年分の確定申告から給与の源泉徴収票やiDeCo・小規模企業共済掛金についてもマイナポータル連携(マイナポータル経由で控除証明等のデータを自動入力する機能)の対象となったことも増加の一因と考えられます。
税務行政のDX 化の一環として、令和7年以降は書面で提出された申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないこととされています(※)が、それに伴い e-Tax の利用環境の充実化が図られる予定です。具体的には、e-Tax のマイぺージで表示できる情報の拡大、現在e-Tax 未対応の手続きへの対応拡充が検討されているなど、今後もe-Tax による申告の普及に向けて様々な取り組みが行われると予想されます。

※令和7年1月以降、当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」(収受日付印の押なつに関する今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法の案内)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものが希望者に渡されます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)