【No423】スタートアップ創出促進保証制度 -経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度-

 令和4年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の中で、スタートアップの企業加速を推進するにあたり、起業に関心のある層が考える失敗時のリスクとして、約8割の方が「借金や個人保証を抱えること」を懸念されていることが挙げられています。

 経営者の経営者保証(個人保証)が起業・創業の阻害要因とならないように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として、「スタートアップ創出促進保証制度」が創設され、令和5年3月15日より制度が開始されています。

1.スタートアップ創出促進保証制度の概要

 スタートアップ創出促進保証制度とは、民間金融機関での融資の際に、信用保証協会が保証を行い、無担保・無保証で最大3,500万円まで融資が受けられるという融資制度です。これから創業する方に加えて、創業後5年未満の法人も対象とされています。

 制度を利用するには、資金調達方法や収支計画などを盛り込んだ創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)の提出が必要となります。

 また、本制度により融資を受けた後、会社を設立して3年目及び5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェック」(ガバナンスチェック)を受ける必要があります。

■融資・保証の申込・手続きイメージ

【出典:中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2023/230220startup.html

2.日本政策金融公庫の「新創業融資制度」との違い

 従前より日本政策金融公庫 国民生活事業においても、無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」が取り扱われています。

 (日本政策金融公庫 新創業融資制度:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html

 「新創業融資制度」では、対象者の要件が「新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方」となっています。一方、「スタートアップ創出促進保証制度」では創業5年未満のスタートアップ企業も対象となっており、対象範囲については、より幅広いものとなっています。

(文責:税理士法人FP総合研究所)