【No498】従業員レクリエーション旅行等の税務上の取扱い
従業員レクリエーション旅行や研修旅行を行った場合、使用者が負担した費用が参加した人の給与として課税されるかどうかは、その旅行の内容を総合的に勘案して判定します。
一般的な内容については過去のFPNews(No399)をご参照ください。今回は具体例をご紹介するとともに「従業員の参加割合が50%未満である従業員レクリエーション旅行」の取扱いについてご紹介します。
1.従業員レクリエーション旅行や研修旅行の具体的な取扱い
具体的には、次のように取り扱われるものと考えられます。
(注)実際に従業員レクリエーション旅行を行った場合に、使用者が負担した費用が参加した人の給与として課税されるかどうかは、その旅行の内容を総合的に勘案して判定することとなります。
<事例1>
イ 旅行期間3泊4日
ロ 費用および負担状況 旅行費用15万円(内使用者負担7万円)
ハ 参加割合100パーセント
【回答】
旅行期間・参加割合の要件および少額不追求の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として課税しなくてもよい。
<事例2>
イ 旅行期間4泊5日
ロ 費用および負担状況 旅行費用25万円(内使用者負担10万円)
ハ 参加割合100パーセント
【回答】
旅行期間・参加割合の要件および少額不追求の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として課税しなくてもよい。
<事例3>
イ 旅行期間5泊6日
ロ 費用および負担状況 旅行費用30万円(内使用者負担15万円)
ハ 参加割合50パーセント
【回答】
旅行期間が5泊6日以上のものについては、その旅行は、社会通念上一般に行われている旅行とは認められないことから課税されます。なお、海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内とされています。
2.従業員の参加割合が50%未満である従業員レクリエーション旅行
【質問】
当社では、福利厚生規程において、レクリエーション旅行を年に1回行うことを定めるとともに、その旅行費用の一部を負担することを定めています。
この度、総務担当者が福利厚生規程に基づき全従業員を対象とした国内旅行を計画し、全従業員を対象に参加者を募集したところ、従業員の都合等により、参加割合は38%になりました。
この場合、旅行に参加した従業員が受ける経済的利益については、給与として課税対象となりますか。
※ 旅行の内容
イ 旅行の目的等:社内の親睦と従業員の勤労意欲向上を目的として行われるレクリエーション旅行(私的な旅行とは認められないもの)
ロ 旅行期間:3泊4日
ハ 費用及び負担状況:旅行費用15万円(内使用者負担7万円)
二 参加割合:38%
【回答】
旅行に参加した従業員が受ける経済的利益については、旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合などの旅行の内容を総合的に勘案して、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められるもので、少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追求の趣旨を逸脱しないものであると認められるものについては、旅行に参加した従業員の給与としなくてもよいことになっています。
質問の旅行については、会社の福利厚生規程に基づき、全従業員を対象に参加者を募集し、年間のレクリエーション行事の一環として会社主催で行われるものであり、社内の親睦と従業員の勤労意欲向上を目的として行われるものです。また、旅行の期間は3泊4日であり、旅行の費用は15万円(使用者負担7万円、従業員負担8万円)となっています。
これらのことを踏まえれば、質問の旅行については、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められ、従業員が受ける経済的利益も少額と認められますので、従業員の参加割合が50%未満であっても、その旅行に係る経済的利益については、課税しなくて差し支えありません。
(文責:税理士法人FP総合研究所)