【No538】 社会福祉法人に係る印紙税の取扱い
印紙税は経済取引に伴い作成される文書のうち、印紙税法に定められた「課税物件表」に掲げる20種類の文書について課税されます。それ以外の文書は印紙税の「不課税文書」となります。なお、課税文書のうち、一部のものは「非課税文書」として課税されません。今回は、社会福祉法人に係る印紙税の取扱いについて解説します。
1.印紙税が非課税となる文書
「課税物件表」に該当しても、印紙税が課税されない「非課税文書」には、以下のような文書があります。
(1)記載契約金額が1万円未満の契約書
(2)記載受取金額が5万円未満の領収書、営業に関しない受取書
(3)国、地方公共団体が作成した文書
(4)介護サービスに関する契約書
2.社会福祉法人の場合の取扱い
上記1の(1)~(4)について、社会福祉法人の場合にも、以下の様に非課税文書としての取扱いとなります。
(1)契約金額が1万円未満であれば、社会福祉法人の他の法人と同様、印紙税は非課税となります。
(2)社会福祉法人は営業行為を行わない(剰余金の分配ができない)ため、社会福祉法人が発行する領収書は全て「営業に関しない領収書(受取書)」として取り扱われることになります。
従って、社会福祉法人の場合、5万円以上の領収書であっても、印紙税は非課税となります。(収益事業に係る領収書も含みます)
(3)国、地方公共団体が作成した文書は、その内容に関係なく印紙税は非課税となります。
但し、社会福祉法人が国や地方公共団体と「委託契約等」を締結した場合、社会福祉法人側は契約内容や金額によって印紙税が課税されることになります。
(4)介護保険制度における介護サービスに係る利用者や障害者の自立支援に関する利用者との契約書については、請負契約書とはみなされないため、印紙税は非課税となります。
但し、介護事業に係る建物の建築など、工事事業者との間で締結する工事請負契約書などについては非課税の規定がないため、印紙税は課税となります。
3.収入印紙を貼り忘れた場合の罰則
収入印紙を貼付すべき契約書等について、収入印紙の貼付をしておらず税務調査で指摘された場合、本来貼付すべき印紙税に加えてその2倍の過怠税が課税されることになります。具体的には、貼付すべき収入印紙が10万円の場合、10万円に過怠税20万円が課され、合計30万円が徴収されることになります。
印紙税は、認識の違いなどから貼付漏れが見受けられるケースがありますので、注意が必要となります。
(注)印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)(PDF/329KB)は、国税庁ホームページからダウンロードできます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)