【No544】贈答品の「送料」は交際費?国税庁が取扱いを明示
令和7年12月4日、国税庁より「交際費等の範囲(贈答に係る送料)」に関する質疑応答事例が追加記載されました 。これまで実務上、荷造運送費として処理されることも多かった「贈答品の送料」について、改めてその取扱いが明確化されています。
1.贈答品の送料は「交際費等」に該当
事例では、得意先への贈答品(お中元・お歳暮等)を運送会社経由で届ける際の運送費用(送料)は、交際費等に含まれると明示されました 。
<交際費等>
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものとされています(租税特別措置法第61条の4第6項)。ようするに、得意先や事業関係者に対する接待、贈答などのために支出する費用を指します。
<考え方>
この場合の支出する費用には、贈答品の購入費用だけでなく、その贈答を行うために不可欠な付随費用(送料)も、贈答行為そのもののために支出されるものであるため、購入費用と同様の性質を持つと考えられます 。また、送料は贈答という行為を完了させるために直接必要な費用であり、贈答品の購入代金と一体のものとして取り扱われると考えられます 。
<実務上の注意点>
会計上で「荷造運送費」として処理している場合でも、税務申告の際には別表十五「交際費等の損金算入に関する明細書」にて交際費等の額に算入(加算)し、限度額計算を行う必要があります 。
2.接待等に係る交通費の取扱いとの比較
例えば、自社が懇親会を主催する場合において、得意先を会場まで案内するために支出するハイヤー・タクシー代は、得意先に対して自社が行う接待のために支出するものですから、交際費等に該当することとなります。
<考え方>
得意先を送り迎えするためのタクシー代や運転手代などは、相手方に対する「接待」や「送迎」というサービスの一環とみなされると思われます。
<注意点>
ただし、他社が主催する懇親会に当社の従業員又は役員を出席させるために要するハイヤー・タクシー代(当社~懇親会会場、懇親会会場~自宅)は、会社の業務遂行上の経費であり、接待、供応等のために支出するものではありませんから、交際費には該当しません(旅費交通費として単純損金)。
(文責:税理士法人FP総合研究所)