【No264】「令和6年度診療報酬改定に向けた検討の進め方」について

 厚生労働省は、令和5年1月18日に中央社会保険医療協議会総会(第536回)を開催し、令和6年度診療報酬改定に向けた検討の進め方についての案が示されました。また、令和6年度の診療報酬改定は介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定になることから、新たな検討の場として「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(仮)」が設けられます。

1.背景

  令和6年度の診療報酬改定に向けては、下記の人口動態や社会情勢の変化や医療提供体制改革等を踏まえ、検討を進めることとしてはどうかと具体的な背景が列挙されました。

・  令和6年度の診療報酬改定は、ポスト2025年も見据えた介護報酬及び障害福祉サービス等報酬との同時改定であること。 

・  2025年に向けて地域医療構想の取組を進めるとともに、さらに医療介護総合確保促進会議で「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」がとりまとめられること。

・  感染症法・医療法改正により新たに追加された「新興感染症への対応」を含む5疾病6事業等の見直しを行う第8次医療計画が令和6年度から開始になること。

・   医師の働き方改革として2024年4月に労働時間上限規制等、改正労働基準法および改正医療法が施行すること

・   医療DXの実現に向けて、医療DX推進本部等において議論が進められていること。

・   革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市や医薬品の安定的な供給を図る観点から、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」において、流通、薬価制度、産業構造の検証など幅広く議論し、とりまとめが行われること。

・  プログラム医療機器(SaMD)の評価体系を検証し、今後のあり方について検討が求められていること。

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第536回)議事次第 総-8-1より引用

2.検討事項と検討の場

 令和4年度の診療報酬改定の検証などは、例年通り検証部会などを中心に検討を行いつつ、新たな検討項目等を含めたそれぞれの検討項目を、下記の通り、検討の場で議論することとしてはどうかと示されました。

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第536回)議事次第 総-8-1より引用

3.スケジュール

 上記の検討事項および検討の場に関して、総-8参考を目安として、特に例年とは異なる検討事項については下記の通りに検討してはどうかと示されました。

  ○ 令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(仮)は、総-8-2の通り、令和5年3月頃より数回程度開催することとしてはどうか。 

  ○  中医協総会において、まずは第8次医療計画、医師の働き方改革、医療DXについて、その後、入院、外来、在宅、歯科、調剤、感染症、個別事項等についてを、4月頃から夏頃までに、広く意見交換を行うこととしてはどうか。 

  ○  また、SaMDワーキンググループについては、保険医療材料等専門組織の下に設置次第、検討を開始することとしてはどうか。

  ○  その後に、秋頃より、個別具体的な改定項目について、議論を深めることとしてはどうか。

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第536回)議事次第 総-8-1より引用

厚生労働省中央社会保険医療協議会 総会(第536回)議事次第 総-8参考より引用

4.最後に

 令和6年度は医療提供体制に関わる第8次医療計画の開始及び医師の働き方改革として労働時間上限規制等が施行され医療・介護を取り巻く環境が大きく変わります。その中で診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定が行われますので、各報酬がより有機的に連携したものとなることが期待されます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)