【No272】令和5年度雇用保険料率の改定について

 令和5年度(令和5年4月1日から令和6年3月31日まで)の雇用保険料率が、厚生労働省より公表されました。雇用保険料率は、令和4年度に2段階改定(医業経営FPNews No.228)として引き上げが行われましたが、令和5年度もさらに料率が引き上げられる改定となりました。新型コロナウイルス感染症の影響による財源不足を補うために、労働者と事業主にさらなる負担を求めていくこととなります。

 そこで今回は、雇用保険から受けられる給付の種類の確認と改定後の雇用保険料率についてご案内します。

1.雇用保険制度の概要

 雇用保険は政府が管掌する強制保険制度であり、下記の2つの機能を有する制度です。

 ①労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に、生活及び雇用の安定並びに就職の促進のために失業等給付及び育児休業給付を支給

 ②失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施

 給付や手当の種類は下図のようになっており、詳しい内容については、厚生労働省「労働者の皆様へ(雇用保険給付について)」よりご確認ください。

厚生労働省 ハローワークインターネットサービスより引用

2.令和5年度雇用保険料率(赤字は変更部分)

 令和5年度の雇用保険料率は下記の表のとおりです。なお、医療機関は一般の事業に該当します。

厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」より引用

3.労働保険の年度更新及び給与計算への影響

 労働保険の年度更新制度については、医業経営FPNews No.228で詳しく説明しておりますのでそちらをご確認ください。なお、令和5年度雇用保険料率の改定は、保険年度の始期である4月1日付での改定となりますので、令和4年度の改定のように計算期間を分けて集計するなどの特殊なことは必要ありません。

 また、給与計算に関して、保険料率の変更のタイミングは、支払日を基準とするのではなく、締め日が基準となりますので、令和5年4月1日以降に締め日が到来する給与から改定後の保険料率で計算をすることとなります。

 

(文責:税理士法人FP総合研究所)