【No376】健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱い
現行の健康保険証は、有効期限の記載があればその日付をもって失効し、記載がなければ令和7年12月1日に失効します。これに先立ち、医療現場での混乱を回避するため、厚生労働省は令和7年6月27日付で、保険医療機関等の窓口対応に関する暫定的な取扱いを関係団体向けに通知しました。今回の医業経営FPNewsではこの暫定的な取扱いの内容についてご案内します。
1.正式な資格確認の方法
受給資格の確認は、受診等の都度、患者本人が提示した情報に基づく資格確認を行う必要があることから、下記のいずれかにより行うことが基本です。
(1)患者がマイナンバーカードを利用して電子資格確認を受ける
(2)患者が保険医療機関等に資格確認書、又は有効期限内の発行済み健康保険証を提出する
また、上記(1)の資格確認を受けられなかった場合には、以下のいずれかによって資格確認を行うことも可能です。
・患者のマイナンバーカードと「資格情報のお知らせ」(※)
・患者のマイナンバーカードとマイナポータルに表示する資格情報画面
(※)「資格情報のお知らせ」は、健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカードを有する被保険者に対し、健康保険証が失効する前に送付される書面であり、「資格情報のお知らせ」のみでは受診できない旨が記載されています。
厚生労働省「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」2ページより参照
2.移行に伴う懸念点
令和7年8月以降、多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより順次失効していくことにより、以下のようなケースが想定されます。
・有効期限切れに気が付かず、有効期限が切れた健康保険証を提示して受診しようとする患者
・「資格情報のお知らせ」のみを持参する患者
厚生労働省「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」2ページより参照
3.暫定的な対応方法
厚生労働省は、上記のケースに柔軟に対応するため、事務連絡にて以下のように示しています。
患者が有効期限を迎えた従来の健康保険証からの切り替えやマイナ保険証の電子証明書の有効期限の更新等への対応が必要な中において、こうした場合の移行期の対応として、患者に10割の負担を求めるのではなく、保険給付を受ける資格を確認した上で適切に受診が行われるよう、被保険者番号等によりオンライン資格確認システムに資格情報を照会するなどした上で、患者に対して3割等の一定の負担割合を求めてレセプト請求を行うこととする運用は、保険医療機関等の現場における実態を勘案すれば、暫定的な対応として差し支えないものと考える。
厚生労働省「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」2ページより引用
4.さいごに
この措置は、最後に切り替わる自治体の健康保険証の有効期限が令和7年12月1日であることを踏まえ、令和8年3月末までとされています。窓口において暫定的な対応を行った場合は、その患者に対し、今回は臨時の対応であることを伝え、次回以降は正式な資格確認方法であるマイナ保険証や資格確認書の持参を呼びかけるなど、スムーズな移行に向けた対応もご検討ください。
(文責:税理士法人FP総合研究所)