【No379】令和7年度地域別最低賃金改定の目安について
8月4日に開催された中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は、令和7年度の最低賃金について、全国加重平均で63円(6.0%)引き上げて1,118円とする目安をまとめました。今春闘の高水準の賃上げや物価高などを背景に、昨年度の50円(5.0%)を上回る過去最大の引き上げとなりました。今回の医業経営FPNewsでは、第71回中央最低賃金審議会の答申についてご紹介いたします。
1.引上げ額の目安について
地域別最低賃金額の各都道府県の引上げ額の目安については、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安が提示されています。
各都道府県の引上げ額の目安については次の表のとおり、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円となっています。
厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」より引用
2.各都道府県別の最低賃金の目安
今回の答申において示された目安どおりに改定がおこなわれた場合の地域別最低賃金は以下のようになります。
厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金改定状況」参照
3.令和7年度の最低賃金決定から発効日までの流れ
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。
参考までに、令和6年度の地域別最低賃金の答申については令和6年8月29日に発表されていますので、今年度も同様の時期に決定することが予想されます。
最低賃金の発効日については、都道府県ごとに異なりますが、平成30年度以降は例年10月1日から1月以内に発効日を迎えています。
従業員を雇用する事業者は、事業所を構える都道府県の最低賃金改定額及び発効日に注意し、あらかじめ改定後に最低賃金に抵触する従業員の有無や求人情報等の内容の確認が必要となります。
厚生労働省「平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況」参照
4.さいごに
最低賃金の改定については、直近10年間においても毎年実施されてきました。
政府が「2020年代に全国平均1,500円」という目標を掲げていることから、今後もこの傾向が続くことが予想されます。
保険医療機関等は、他業種と異なり、人件費の上昇を任意で売上(診療報酬)に転嫁することができないため、経営に対する影響がより大きくなることが懸念されます。
厚生労働省「平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況」参照
(文責:税理士法人FP総合研究所)