【No383】医療扶助におけるオンライン資格確認導入に係る助成金について
「経済財政運営と改革の基本方針 2022」(令和4年6月7日閣議決定)により、保険医療機関・保険薬局において、令和5年4月よりオンライン資格確認を導入することが原則として義務付けられております。
また、医療機関毎に作成されている毎月の医療券の発行事務が福祉事務所にとって事務負担感が強いなどの理由から、医療扶助のオンライン資格確認の導入が進められています。今回の医業経営FPNewsではこの導入に係る助成金の内容についてご案内します。
1.オンライン資格確認の導入状況
令和7年7月27日時点でのオンライン資格確認・マイナ保険証の利用状況は以下の図のとおりです。
厚生労働省「第196回社会保障審議会医療保険部会 議事次第」P.10より画像引用
2.医療扶助のオンライン資格確認の概要
生活保護の医療扶助については、現在紙で発行している医療券について以下を目的として、令和6年3月1日よりマイナンバーカードを利用したオンライン資格確認が始まっています。
・生活保護受給者の利便性を高めること
・生活保護受給者がよりよい医療サービスを受けられること
・医療扶助制度の適正かつ効率的な運営を促進すること
現行の医療扶助の受診とオンライン資格確認導入のイメージは以下の図のとおりです。医療保険と同様に生活保護受給者についても、効率的な資格確認等が可能となります。ただし、導入にはレセプトコンピューターなどの既存システムの改修等が必要になります。
医療扶助は、医療保険と異なり、受診する医療機関等を個別に福祉事務所が決定・委託する仕組みのため、自己負担を徴収せずに適切な受診体制を確保しています。
こうした仕組みを維持するため、オンライン資格確認等システムには、福祉事務所から委託を受けた医療機関等の情報も登録することとし、委託された医療機関等において医療扶助受給者が資格確認を行った場合、当該医療機関等に医療扶助の実施が委託されている旨が伝わり、請求、審査支払い等が行われる仕組みになっています。マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認には、被保護者にとって医療券を福祉事務所の窓口に取りに行くという手間が不要等のメリットがあります。加えて、医療機関でこれまでよりも確実な資格確認と本人確認を行うことができるほか、福祉事務所が医療券を発行する事務負担を軽減することができます。
こうした点を踏まえ、医療扶助の資格確認は原則としてマイナンバーカードにより行うこととして運用が始まっています。
厚生労働省「医療扶助のオンライン資格確認導入について」
厚生労働省「医療扶助のオンライン資格確認」
参照及び画像引用
3.医療扶助のオンライン資格確認導入に係る医療機関等助成事業
医療保険においてオンライン資格確認を実施可能な体制を整えている保険医療機関等 (令和5年度及び令和6年度において本事業により助成を受けた保険医療機関等を除く。)において 、医療扶助のオンライン資格確認を実施するためのレセプトコンピューターの改修等に係る事業に対して助成を受けることができます。
費用の補助内容は以下のとおりです。申請は医療機関等向け総合ポータルサイトにて行いますが、申請期限が令和7年9月30日となっておりますのでご注意ください。
厚生労働省「医療扶助のオンライン資格確認」より画像引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)