【No387】19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定について

令和7年度税制改正により、19歳以上23歳未満の方の特定親族特別控除が創設されました。それに伴い、協会けんぽにおける健康保険の被扶養者(被保険者の配偶者を除きます。)の認定についても令和7年10月に改定が行われました。今回の医業経営FPNewsでは被扶養者認定の詳細について解説します。

1.所得税における改正

(1)居住者が「特定親族」を有する場合には、その居住者の総所得金額等から、その特定親族1人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて最高63万円を控除する「特定親族特別控除」が創設されました。

(注)「特定親族」とは、居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人および白色事業専従者を除きます。)で、合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入の場合:123万円超188万円以下)の人をいいます。なお、親族には児童福祉法の規定により養育を委託された、いわゆる里子を含みます。

(2)令和8年1月以後に支払うべき給与及び公的年金等について、それぞれ次の場合に、特定親族特別控除が各月(日)の源泉徴収の際に適用されることとされました。

・給与:親族の合計所得金額が58万円超100万円以下(給与収入の場合:123万円超165万円以下)である場合

・公的年金等:親族の合計所得金額が58万円超85万円以下(給与収入の場合:123万円超150万以下)である場合

国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」より参照

  2.健康保険における改正

(1)現行の年間収入要件

被扶養者の認定にあたり、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満)で、次のいずれかを満たす必要があります。

・同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の2分の1未満であること

・別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であること

(2)令和7年10月1日以降

被扶養者の認定にあたり、上記の年間収入が130万円未満から150万円未満に引き上げられます。なお、その他の要件については変更はありません。

(3)年齢要件(19歳以上23歳未満)の判定

年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。

例えば、扶養認定を受ける方が令和7年11月に19歳の誕生日を迎える場合には、令和7年(暦年)における年間収入要件は150万円未満となります。

(4)留意事項

・令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合、19歳以上23歳未満

 の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定することとなります。

・令和7年9月30日以前に扶養認定済みの19歳以上23歳未満の被扶養者については、令和7年10月1日以降は

 年間収入が150万円以上見込まれる場合に被扶養者の削除(非該当)の届出が必要です。

(5)その他

詳細なQ&Aにつきましてはこちらをご参照ください。

日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」より参照

3.さいごに

上記2.については、基本的に協会けんぽに加入している被保険者が対象となります。各都道府県の医師国保に加入されている方や他の健康保険組合に加入されている方は、上記2.と異なる取扱いになっている場合があります。例えば、医師国保の被扶養者は、年間収入要件がありません。他の健康保険組合に加入の方につきましては、ご自身の組合の規定をご確認ください。

令和7年10月以降に全国で最低賃金の改定が予定されており、19歳以上23歳未満の親族の方についても更なる収入増加が見込まれます。上記2.に該当される方につきましては、改めて要件をご確認ください。

(文責:税理士法人FP総合研究所)