【No402】診療報酬改定:電子的診療情報連携体制整備加算について
令和8年度の診療報酬改定では、医療DX関連施策の進捗状況を踏まえ、関連サービスの活用による質の高い医療の提供を評価する観点から、既存の加算評価が見直されるとともに、新たに「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されました 。今回の医業経営FPNewsでは、新たに創設された本加算の概要と施設基準等についてご案内いたします。
1.制度の概要と新設の背景
(1) 医療DX・ICT連携の推進
これまで普及が進められてきた関連サービスを基盤とし、さらなる電子的診療情報の連携・活用を評価するため新設されました。
(2) 評価体系の再編
医科、歯科、調剤の各分野において、初診時および再診時(調剤は調剤基本料)における評価体系が再編されています 。
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」P.80参照
2.具体的な算定点数
医科における初診時および再診時の算定点数は以下の通りです。体制の整備状況に応じて3つの区分に分かれています。
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区分 |
項目 |
点数 |
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初診時(月に1回) |
電子的診療情報連携体制整備加算1 |
15点 |
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電子的診療情報連携体制整備加算2 |
9点 |
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電子的診療情報連携体制整備加算3 |
4点 |
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再診時(月に1回) |
電子的診療情報連携体制整備加算 |
2点 |
・同一月内に初診時の本加算を算定した場合、同月内の再診時には本加算を算定できません。
・同一月内に再診時の本加算を算定した後に、同月内に他の疾患により初診を行った場合についても、初診時の本加算は算定できません。
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」P.81参照
厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その4)」P.2参照
3.申請手続き・注意点
(1) 施設基準
施設基準は以下の通りです
- オンライン請求を行っていること。
- 診療報酬明細書を患者に無償で交付していること。
- オンライン資格確認を行う体制を有していること。
- 医師又は歯科医師が、オンライン資格確認等システムを利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。
- マイナ保険証利用率が、30%以上であること。
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること。
- 明細書発行に関する事項、医療DX推進の体制に関する事項等について、当該保険医療機関の見やすい場所及びウェブサイトに掲載していること。
- 電子処方箋を発行する体制又は調剤した薬剤に関する情報を電子処方箋システムに登録する体制を有していること。
- 以下のアからウの全て又はエを満たす電子カルテを有していること。
ア 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した体制であること。
イ 電子処方箋管理サービスとの接続インターフェースを有していること。
ウ 電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースを有していること。
エ 厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること。 - アを満たす又はイ及びウを満たすこと。
ア 国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること。
イ 地域の複数の医療機関間で検査結果や画像情報等を含む診療情報を共有又は閲覧できるネットワークであって、以下の(イ)から(ハ)の全てを満たすものを活用する体制を有していること。
(イ) 当該ネットワークに参加している保険医療機関の数が10以上であり、そのうち診療情報を開示している病院の数が2以上であること。
(ロ) 登録患者数が1,000人以上であること又は新規登録患者数が年間100人以上であること。
(ハ) 当該ネットワークの運営主体が連携している医療機関名及び登録患者数をウェブサイトで公表していること。
ウ 以下の(イ)及び(ロ)を満たすこと。
(イ) 診療情報提供料(Ⅰ)の検査・画像情報提供加算又は電子的診療情報評価料の施設基準を届け出ていること。
(ロ) 当該ネットワークに参加していること及び実際に患者の情報を共有している実績のある保険医療機関の名称について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。国等の情報共有サービス、または一定要件を満たす地域のネットワークを活用する体制を有すること。
各区分の算定要件は以下の通りです。
・電子的診療情報連携体制整備加算1 ①~⑩の全てを満たすこと
・電子的診療情報連携体制整備加算2 ①~⑦の全て、かつ、⑧~⑩のいずれかを満たすこと
・電子的診療情報連携体制整備加算3 ①~⑦の全てを満たすこと
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」P.82参照
(2) 実務上の留意点
システム要件と届出に関する取扱いは以下の通りです。
・「電子処方箋管理サービスとの接続インターフェースを有していること」とは、電子処方箋の運用開始日が登録され、厚労省ウェブサイトにおいて電子処方箋対応施設として公表されている状態を指します。
・初診料に係る本加算の届出を行っている場合、再診料に係る本加算の追加届出は不要です。
・「厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること」の具体的な要件については、現在、同省において標準仕様に準拠した電子カルテ製品の認証制度が検討されており、医政局における議論がまとまり次第、追って詳細が示される予定です。
・「電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋により調剤する体制を有する」とは、現時点では、令和5年1月26日から稼働した基本機能に対応した電子処方箋を発行できる体制を有していれば要件を満たします。
厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その4)」P.2参照
厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その5)」P.2参照
厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その6)」P.2参照
4.さいごに
令和8年度診療報酬改定により、医療機関における医療DXの評価はより本格的な運用段階へと移行しました。オンライン資格確認の導入や電子処方箋の発行にとどまらず、実際のシステム稼働状況やマイナ保険証の実利用率(30%以上)といった具体的な実績が要件として求められています。各医療機関におかれましては、自院のシステム対応状況を改めてご確認いただくとともに、要件を満たすための実務対応を計画的に進めていくことが重要となります。
(文責:税理士法人FP総合研究所)