【No412】病院又は診療所を開設する一般社団法人の決算届の提出義務化について

近年、美容クリニックや在宅医療分野を中心に、一般社団法人として病院又は診療所を開設する医療機関が増加しています。こうした状況を受け、厚生労働省は医療機関における非営利性を徹底する目的から、一般社団法人が開設する医療機関に対して定期的な財務書類の届出を新たに義務化する方針を決定しました。

今回の医業経営FPNewsでは、病院又は診療所を開設する一般社団法人の決算届等の提出義務化について解説いたします。

1.医療法人の決算届

医療機関の開設主体として代表的な医療法人は、非営利性を担保しつつ医療の永続性を確保するために、医療法において厳格な運営と行政への定期的な報告が義務付けられています。ここではまず、元々決算届の提出義務のある医療法人の制度概要について解説します。

(1)医療法人が作成、提出する書類

医療法人は、毎会計年度の経営状況や財務状態を行政に報告するため、以下の書類を作成し、提出する義務があります。

①事業報告書

②財産目録

③貸借対照表

④損益計算書

⑤関係事業者との取引の状況に関する報告書

⑥監事の監査報告書

※令和5年8月以降に決算期末を迎える医療法人は、上記の書類の他、病院、診療所にかかる経営情報等の報告義務が規定されています。

(2)提出先と提出期限

医療法人は、原則として毎会計年度終了後3か月以内に主たる事務所の所在地の都道府県知事に(1)の書類を提出する義務があります。

厚生労働省「医療法人に関する情報の調査及び分析等について」参照

2.今回の改正

これまで病院又は診療所を開設する一般社団法人には、医療法に基づく行政への定期的な事業報告の義務がありませんでした。今回の改正により、一定の規模に該当する場合には医療法人と同等の開示が求められることになります。ただし、公益社団法人が開設する医療機関については今回の義務化の対象外となります。

(1)一般社団法人が作成、提出する書類

一般社団法人には、病院、診療所にかかる経営情報等の報告義務は規定されていません。

厚生労働省「一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の徹底について」P3より図表引用

(2)提出期限と提出先

医療法人と同様に、原則として毎会計年度終了後3か月以内に主たる事務所の所在地の都道府県知事に(1)の書類を提出する義務があります。

(3)改正時期

今回の改正は令和8年4月以降に開始する事業年度の決算分から対象とされ、実際の届出は令和9年度以降に必要となります。

厚生労働省「一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の確認のポイントについて」P8参照

3.さいごに

今回の改正により、病院又は診療所を開設する一般社団法人においても、医療法人と同様の厳格な情報開示と非営利性の証明が求められることになりました。対象となる一般社団法人におかれましては、法令の要件に沿った適切な運用ができるよう、早期の社内体制整備を進めることが不可欠です。

(文責:税理士法人FP総合研究所)