【No1053】「生計を一にする」について
相続税や所得税などの税務上に「生計を一(いつ)にする」という用語が使われています。簡単に言うと「同じ財布(家計)で生活している」ということですが、相続税法の中に「生計を一にする」の明確な定義はないため、基本的には所得税の考え方(通達)をそのまま相続税にも当てはめて判定します。そのため、どちらの税金であっても基本的な意味や判定基準は同じです。今回は、この「生計を一にする」についてご説明します。
1.「生計を一」が関係する規定
【 所得税 】で関係する主な控除
配偶者控除・扶養控除など: 生計を一にする親族(かつ所得などの要件を満たす人)を扶養していると、一定の所得控除が受けられます。
社会保険料控除・医療費控除など: 自分だけでなく、「生計を一にする親族」の保険料や医療費を代わりに支払った場合も、自分の控除として合算できます。
※ 判定時期:毎年12月31日時点の現況
【 相続税 】で関係する主な特例
小規模宅地等の特例: 亡くなった人(被相続人)と「生計を一にしていた親族」が、その被相続人の所有していた土地を引き継いで居住や事業を続ける場合、土地の評価額が最大で80%減額されます。
※ 判定時期:被相続人が亡くなった時(相続開始の直前)
2.《 生計を一にするの意義 》(所基通2―47)
所得税基本通達2―47には以下のように記載されています。
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1)勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2)親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
「生計を一にする」かどうかの判定基準
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原則 |
例外 |
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同居している |
生計を一 |
二世帯住宅などで玄関や水回りが完全に分かれており、光熱費や食費なども完全に別々(お互い独立して生活している)なら「生計を別」とみなされることも考えられます。 |
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別居している |
生計を別 |
仕送り(生活費、学資金、療養費など)を常に送金している場合や、休日は必ず実家に帰って一緒に過ごすのが日常になっている場合には、「生計を一」にしていると考えられます。(例:一人暮らしの学生、単身赴任の夫など) |
基本的な判断基準の注意点として、同居しているなら「生計を一」、別居しているなら「生計を別」ではありますが、同居・別居に関わらず経済的な実態などを総合的に勘案して判断します。
「住民票が一緒だから」「同じ建物に住んでいるから」といった形式的な理由では、税務調査で否認されるリスクがあります。重要なのは「同じ財布(家計)で生活している、日々の生活費の財布が本当に一つだったか」という実態です。
(文責:税理士法人FP総合研究所)