【No1055】歩道状空地の相続税評価
マンションやビルの敷地の一部が、一般の歩道と一体化して整備されているケースを見かけることがあります。
もしその敷地が「歩道状空地」に該当する場合、相続税評価において評価額を引き下げられる可能性があるのでご説明します。
1.歩道状空地とは
歩道状空地とは、マンションやビルの建築の際に、敷地の一部を道路に沿って歩道として整備されたスペースをいいます。土地の所有権や管理責任はオーナー側にありますが、実際には公共物として機能しており、不特定多数の通行人が24時間自由に利用できる状態になっているのが特徴です。
歩道状空地は次の3つの条件を満たすことで、相続税評価においては「私道」として評価することができます。
- 都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備されていること
- 道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであること
- 居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されていること
2.評価額が引き下げられることとなった経緯
平成29年2月28日の最高裁判決を機に歩道状空地の取り扱いが変わることとなりました。それまで通常の宅地と同様に扱われ減額されることがなかった歩道状空地に対し、「自治体の指導要綱等に基づき設置されたものであり、不特定多数の者の通行の用に供されており、他の用途へ転用することが容易ではないため客観的交換価値が低下していると認められる」と判決が下されました。
つまり、歩道状空地については通常の宅地と同様に評価をせずに、減額評価しても問題はないと結論付けられる結果となりました。
国税庁はこの判決を受け、歩道状空地の取り扱いが変更されることとなりました。
3.相続税評価
1.の条件を満たした歩道状空地である場合、財産評価基本通達24に基づき「私道」として評価します。
私道の評価方法は以下のとおりです。
- 不特定多数の者の通行の用に供されている私道
評価しない(評価額0円)
- 特定の者の通行の用に供されている私道
宅地としての評価額×30/100
4.公開空地との違い
歩道状空地と似ているものとして「公開空地」がありますが、こちらの相続税評価においては通常の宅地として評価します。 公開空地とは、緑道や広場など一般の人々も利用できる空間を指します。総合設計制度などに基づき公開空地を設けることで容積率や建物の高さの緩和を受けることができるのですが、こちらは建築基準法に基づく利便性の向上として設けられたものであるため、歩道状空地のような私道評価はできず、通常の宅地として評価します。
なお、同じ敷地内に歩道状空地と公開空地が混在しているケースも多いため、図面から面積を把握する必要があります。
5.まとめ
歩道状空地は私有地ではあるものの、公共性が高いものとして相続税評価は最大100%の減額が認められています。
また、歩道状空地であるかどうかの確認は、開発登録簿や建築計画概要書、地方公共団体の指導要綱等などを収集することで確認できます。
もし敷地内に歩道状空地に該当しそうなスペースがある場合は相続税評価額を減額できる可能性があるため、相続発生の際はご相談をおすすめします。
(文責:税理士法人FP総合研究所)