【No1061】共有不動産の場合の空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例について

相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に譲渡して、一定の要件を満たすときは、譲渡所得の金額から3,000万円(又は2,000万円)まで控除することができます。今回は一定の要件のうち、相続又は遺贈により取得した不動産が相続人との共有であった場合の譲渡対価の制限と、特別控除額について説明します。

1.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の譲渡対価の制限と特別控除額

①譲渡対価の制限

譲渡対価の額が1億円以下である譲渡が対象

②特別控除額

3,000万円

ただし、被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を相続又は遺贈(死因贈与を含む)により取得した相続人が3人以上である場合の特別控除額は2,000万円(令和6年1月1日以後の被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用)

2.共有の不動産を取得した場合の譲渡対価の制限について

被相続人と相続人Aが1/2ずつ共有で所有していた被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を、相続人Bが被相続人のすべての持分を相続により取得し、AとBが当該不動産を売却した場合には、譲渡対価の制限である1億円以下である譲渡の判定は、Bの譲渡対価のみで判定します。

ただし、相続人Aが一部でも相続していると、AとBの譲渡対価の合算で判定します。

<例①>

相続前 被相続人1/2 相続人A1/2 

           ↓相続人Bのみが相続により取得

相続後 相続人B1/2 相続人A1/2 その後譲渡対価の合計額1億4,000万円で売却

⇒譲渡対価の合計額が1億4,000万円であっても、相続により取得した相続人Bの譲渡対価の額が1/2の7,000万円なので、譲渡対価の制限である1億円以下を満たします。

<例②>

相続前 被相続人1/2 相続人A1/2 

           ↓相続人AとBがそれぞれ被相続人の持分の1/2を相続により取得

相続後 相続人B1/4 相続人A3/4 その後譲渡対価の合計額1億4,000万円で売却

⇒相続前に共有していた相続人Aが被相続人の持分を取得した場合、相続により取得したA及びBの譲渡対価の額の合計で判定することとなります。譲渡対価の合計額が1億円を超えているため、特例を使うことはできません。

<例③>

相続前 被相続人1/2 相続人A1/2 

           ↓相続人Aが相続により取得

相続後 相続人Aがすべて所有 その後譲渡対価の合計額1億4,000万円で売却

⇒相続前に共有していた相続人Aが被相続人の持分を取得した場合、例②と同様に元々相続人Aが所有していた持分も一体として判定することとなります。譲渡対価の合計額が1億円を超えているため、特例を使うことはできません。

3.共有の不動産を譲渡した場合の特別控除額の計算について

被相続人と相続人Aが1/2ずつ共有で所有していた被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を、Aが被相続人のすべての持分を相続により取得し、Aが当該不動産を売却した場合には、特別控除額は相続により取得した持分に係る所得金額を限度とします。

<例①>

相続前 被相続人1/2 相続人A1/2 

           ↓相続人Bのみが相続により取得

相続後 相続人B1/2 相続人A1/2 その後譲渡対価の合計額7,000万円で売却

     取得費と譲渡費用の合計が2,000万円の場合

①相続人Bが相続又は遺贈により取得した持分部分の課税所得金額の計算

3,500万円(7,000万円×1/2)-1,000万円(2,000万円×1/2)=2,500万円

2,500万円-2,500万円(特別控除前の所得金額を限度)=0円

②相続人Aが相続又は遺贈により取得した持分部分の課税所得金額の計算

3,500万円(7,000万円×1/2)-1,000万円(2,000万円×1/2)=2,500万円

※相続人Aについては相続又は遺贈により取得していないため、特別控除の適用なし

<例②>

相続前 被相続人1/2 相続人A1/2 

           ↓相続人AとBがそれぞれ被相続人の持分の1/2を相続により取得

相続後 相続人B1/4 相続人A3/4 その後譲渡対価の合計額7,000万円で売却

    取得費と譲渡費用の合計が2,000万円の場合

①相続人A

イ.相続又は遺贈により取得した持分部分の課税所得金額の計算

1,750万円(7,000万円×1/4)-500万円(2,000万円×1/4)=1,250万円

1,250万円-1,250万円(特別控除前の所得金額を限度)=0円

ロ.相続人Aが元々所有していた持分部分の課税所得金額の計算

3,500万円(7,000万円×1/2)-1,000万円(2,000万円×1/2)=2,500万円

※相続人が元々所有していた持分部分については、特別控除の適用なし

②相続人Bが相続又は遺贈により取得した持分部分の課税所得金額の計算

1,750万円(7,000万円×1/4)-500万円(2,000万円×1/4)=1,250万円

1,250万円-1,250万円(特別控除前の所得金額を限度)=0円

<例③>

相続前 被相続人1/2 相続人A1/2 

           ↓相続人Aが相続により取得

相続後 相続人Aがすべて所有 その後譲渡対価の合計額7,000万円で売却

    取得費と譲渡費用の合計が2,000万円の場合

①相続又は遺贈により取得した持分部分の課税所得金額の計算

3,500万円(7,000万円×1/2)-1,000万円(2,000万円×1/2)=2,500万円

2,500万円-2,500万円(特別控除前の所得金額を限度)=0円

②相続人が元々所有していた持分部分の課税所得金額の計算

3,500万円(7,000万円×1/2)-1,000万円(2,000万円×1/2)=2,500万円

※相続人が元々所有していた持分部分については、特別控除の適用なし

4.まとめ

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例については、他にも要件があります。要件に該当し、特別控除の適用を受けることで課税所得金額が0円になった場合でも、確定申告は必要となるため、注意が必要です。

(文責:税理士法人FP総合研究所)