【no701】令和2年 公示価格発表

令和2年3月18日に国土交通省より令和2 年地価公示が発表されました。地価公示とは、地価公示法に基づき毎 年1 月1 日時点の地価(「正常な価格」)を、住宅地・宅地見込地・商業地・準工業地・工業地・市街化調整区域内宅地 などの地域に分け、不動産鑑定士等が評価し国土交通省が 3 月末頃に公表するものであり、一般の土地の取引価格に対 して指標を与えるとともに、公共事業用地の取引価格の算定等の規準とすることを目的に行われています。令和2年の 標準地の設定数は、市街化区域20,567点、市街化調整区域1,380地点、その他の都市計画区域4,035地点、都市 計画区域外の公示区域18地点の計26,000地点となっています。

<令和 2 年公示価格の動向>

令和1 年から令和2 年の公示価格を前年と比較した変動率は以下のとおりです。

  住宅地
平成30年 平成31年 令和2年
全国平均 0.3% 0.6% 0.8%
三大都市圏 0.7% 1.0% 1.1%
・東京圏 1.0% 1.3% 1.4%
・大阪圏 0.1% 0.3% 0.4%
・名古屋圏 0.8% 1.2% 1.1%
地方圏平均 ▲0.1% 0.2% 0.5
  商業地
平成30年 平成31年 令和2年
全国平均 1.9% 2.8% 3.1%
三大都市圏 3.9% 5.1% 5.4%
・東京圏 3.7% 4.7% 5.2%
・大阪圏 4.7% 6.4% 6.9%
・名古屋圏 3.3% 4.7% 4.1%
地方圏平均 0.5% 1.0% 1.5%
  全用途
平成30年 平成31年 令和2年
全国平均 0.7% 1.2% 1.4%
三大都市圏 1.5% 2.0% 2.1%
・東京圏 1.7% 2.2% 2.3%
・大阪圏 1.1% 1.6% 1.8%
・名古屋圏 1.4% 2.1% 1.9%
地方圏平均 0.0% 0.4% 0.8%

【全国平均】

全国平均では、全用途平均が5 年連続の上昇となり、上昇幅も4 年連続で拡大し上昇基調を強めています。 住宅地においては、雇用・所得環境の改善が続く中、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果 もあり、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調となっています。全国的に住宅地の地価の回復が進展し、 全国の平均変動率は0.8%と、平成30 年に10 年ぶりに上昇に転じて以来3 年連続の上昇となり、上昇幅も2 年連続で 拡大し上昇基調を強めています。

また、商業地のおいては、景気回復、良好な資金調達環境の下、企業による人材確保等を目的としてオフィスビルに対 する需要が堅調であり、空室率の低下・賃料の上昇傾向が継続しています。外国人観光客をはじめとする国内外からの訪 問客の増加により収益性の向上が見込まれる地域、交通インフラの整備や再開発の進展に伴い利便性や繁華性の向上が見 られる地域などでは、店舗、ホテル等の需要が堅調です。地方都市を含め、鉄道駅周辺などではマンション需要との競合 も見られ、こうした多様な需要が競合することにより地価が上昇しており、全国の平均変動率は 3.1%と5年連続の上昇 となり、上昇幅も4年連続で拡大し上昇基調を強めています。

その他、工業地においても、インターネット通販の普及・拡大に伴う物流施設の建設や工場の立地・拡張の動き等、全 国的に工業地への需要の回復が見られます。特に、高速道路のインターチェンジ周辺等の交通利便性に優れた地域では大 型物流施設建設に対する需要が強くなっています。このため、工業地の地価は総じて堅調に推移し、全国の平均変動率は 1.8%と4年連続の上昇となり、上昇幅も3年連続で拡大し上昇基調を強めています。

【三大都市圏平均】

三大都市圏でみると、全用途平均・住宅地・商業地及び工業地のいずれについても、各圏域で上昇が継続し、東京圏及 び大阪圏では上昇基調を強めています。 住宅地については、大阪圏では平成30 年に上昇に転じて以降3 年連続で上昇となり、東京圏及び名古屋圏では、平均 変動率は7 年連続の上昇となりましたが、名古屋圏の上昇幅は昨年より縮小となりました。 また、商業地については、三大都市圏の全てで平均変動率が7 年連続の上昇となり、東京圏及び大阪圏は上昇幅も 6 年 連続で拡大する一方、名古屋圏では上昇幅は昨年よりも縮小となりました。

【地方圏平均】

地方圏でみると、全用途平均・住宅地が昨年に続き2 年連続での上昇となりました。商業地・工業地は3 年連続の上昇 となり、いずれも上昇基調を強めています。地方圏のうち地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では全ての用途 で上昇が継続し、上昇基調を強めています。 地方四市を除くその他の地域においても、全用途平均・商業地が平成4年以来28年ぶりに上昇し、住宅地は平成8年 から続いた下落から横ばいとなりました。また、工業地は2年連続の上昇となっています。

【概括と今後の展望】

令和2 年の地価公示は、三大都市圏だけでなく地方圏を含む幅広い地域において地価の上昇が波及している結果となっ ています。ただし、地価公示は1 月1 日時点の地価となるため、年明けから猛威を振るっている新型コロナウィルスの影 響は考慮されていません。新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、外国人旅行者が大幅に減少し、観光関係の需要が落 ち込むことにより地価にも影響が及ぶ可能性が懸念されます。地価公示は、相続税や固定資産税等の評価額に広く影響を 及ぼすことから、今後も継続して動向を注視する必要がありそうです。

(担当:大久保 雅之)