【No702】令和元年台風第19号により被害を受けた土地等に係る特例措置について

2月26日に国税庁ホームページにおいて「令和元年台風第19 号に係る調整率」が公表され、災害発生日前後の一定 期間において特定土地等を相続等(相続又は遺贈をいいます。以下同じ。)又は贈与により取得した場合における特定土地 等の財産評価及び申告期限についての特例措置が設けられており、今回は相続税の特例措置についてご説明します。

1.災害発生日前(令和元年10 月9日以前)に取得した特定土地等

(1)特定土地等の評価の特例の概要

平成30 年12 月10 日から令和元年10 月9日までの間に相続等により取得した土地等(土地又は土地の上に存する 権利をいいます。)で、特定地域内(注)にある土地等(特定土地等)の価額は、その取得の時の時価によらず、「令和元 年台風第19 号の発生直後の価額」によることができます。

(注)「特定地域」とは、特定非常災害により被災者生活再建支援法第3 条第1 項の規定の適用を受ける地域 (同項の規定の適用がない場合には、その特定非常災害により相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域) をいい、令和元年12 月18 日時点において、次の地域が該当します。

都県名 特定地域 調整率(宅地)
岩手県 宮古市、釜石市、山田町、久慈市 0.75~0.95
宮城県 県内全域 0.60~1.0
福島県 県内全域 0.70~1.0
茨城県 県内全域 0.75~1.0
栃木県 宇都宮市、足利市、栃木市、佐野市、鹿沼市、小山市、那須烏山市、茂木町 0.75~1.0
群馬県 富岡市、嬬恋村 0.85~0.95
埼玉県 県内全域 0.80~1.0
千葉県 県内全域 0.85~1.0
東京都 大田区、世田谷区、八王子市、あきる野市、日の出町、檜原村 0.85~1.0
神奈川県 川崎市、相模原市 0.85~1.0
新潟県 阿賀町 0.85~0.95
山梨県 上野原市 0.90~1.0
長野県 県内全域 0.65~1.0
静岡県 伊豆市、伊豆の国市、函南町 0.85~0.95

(2)「令和元年台風第19 号の発生直後の価額」の計算方法等

「令和元年台風第19 号の発生直後の価額」は、この「調整率」を令和元年分の路線価等(路線価及び評価倍率をいい ます。)に乗じて計算することができます。

評価方式 令和元年台風第19号の発生直後の価額
路線価 令和元年分の路線価×「調整率」
倍率 令和元年分の評価倍率×「調整率」

(3)申告期限について

相続人等のうちに上記特定土地等の評価の特例の適用を受けることができる者がいる場合には、その相続人等の全員の 申告期限が 令和2年8月11 日まで延長されます。

(注 1)国税通則法第 11 条の規定(災害など納税者の責めに帰さないやむを得ない事由により、国税に関する法律に 基づく申告等又は納付等の期限までに、これらの行為をすることができないと認められるときは、国税庁長官の指定によ り、その理由がやんだ日から 2 か月以内に限り、その期限が延長されます。)に基づき申告期限が延長された方は、令和 2年8月11 日とその延長された期限のいずれか遅い日が相続税の申告期限となります。

(注2)「更正の請求」の期間は、申告期限から5年間となります。

2.災害発生日以後(令和元年10 月10 日以後)に取得した土地等

(1)土地等の計算方法

令和元年10 月10 日から同年12 月31 日までの間に相続等により取得した土地等のうち、特定地域内にある土地等 の価額については、上記1に準じて計算することができます。

(2)申告期限について

令和元年10 月10 日から同年12 月31 日までの間に相続等が開始した相続税については、相続の開始があったこと を知った日の翌日から10 か月を経過する日が申告期限となります。

(注 1)国税通則法第 11 条の規定に基づき申告期限が延長された方は、その延長された期限が相続税の申告期限とな ります。

(注2)「更正の請求」の期間は、申告期限から5年間となります。

3.まとめ

上記のとおり、特定地域ごとに調整率が定められており、相続税評価額に影響を与えることはもちろんですが、調整率 が1.0 で相続税評価額への影響はないものの、申告期限が延長されている場合があるため注意が必要となります。

(担当:胡子 遼)