【no704】消費税法基本通達の改正(居住用賃貸建物関連)

令和2年度税制改正により、居住用賃貸建物に係る課税仕入れについては、仕入税額控除が適用されないこととなりました。(令 和2年10月1日以後の課税仕入れから適用。令和2年3月末までに締結した契約に基づき10月1日以後に課税仕入れを行う 場合は経過措置があり、改正法は適用されません。) 今般、4月1日付で消費税法基本通達の改正が行われ、「居住用賃貸建物」に関する取扱いが明らかになりました。

1.住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物の範囲(消基通11-7-1)【新設】

居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物(その附属設備を含む)で高額特定資産等に 該当するものをいいます。(改正消費税法第30 条第10 項) 今回の改正通達では、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」に該当するものとして、以下の 3 つのケースが例示 されました。

(1)建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らか な建物

(2)旅館又はホテルなど、旅館業法第2 条第1 項<定義>に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建 物

(3)棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの

2.居住用賃貸建物の判定時期 (消基通11-7-2)【新設】

居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日の状況により判定し、同日において住宅の貸付けの用に供しない ことが明らかでない建物については、居住用賃貸建物に該当します。 ただし、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたとき は、居住用賃貸建物に該当しないことが示されました。

3.合理的に区分している場合 (消基通11-7-3)【新設】

居住用賃貸建物について、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分を当該居住用賃貸建物の構造及び設備の状況その他 の状況により合理的に区分しているときは、その明らかな部分以外の部分に係る課税仕入れ等の税額について、仕入税額控除を適 用しないこととされています。(改正消費税法施行令第50 条の2) 今回の改正通達では「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分がある居住用賃貸建物」、「合理的に区分している」につ いて、以下のとおり例示・定義されました。

住宅の貸付けの用に供しないことが 明らかな部分がある居住用賃貸建物 例えば、建物の一部が店舗用の構造等となっている居住用賃貸建物合理的に区分している
合理的に区分している 使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合など、その建物の実態に応じた合 理的な基準により区分していること

4.居住用賃貸建物が自己建設高額特定資産である場合 (消基通11-7-4)【新設】

自己建設高額特定資産に係る「高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例」は、自己建設高額特定資産の建設等に 要した原材料及び経費に係る税抜き価格の累計額が 1,000 万円以上となった課税期間以後について適用されるため、当該課税期 間の前課税期間以前に行われた当該建物に係る課税仕入れについては、仕入税額控除の適用があります。

5.居住用賃貸建物に係る資本的支出 (消基通11-7-5)【新設】

居住用賃貸建物について資本的支出を行った場合の課税仕入れも、仕入税額控除の制限の対象となります。 なお、建物に係る資本的支出自体が居住用賃貸建物の課税仕入れに該当しない場合は、仕入税額控除の適用があるとして、以下 のケースが例示されました。

(1)建物に係る資本的支出自体が高額特定資産の仕入れ等に該当しない場合

(2)建物に係る資本的支出自体が住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物に係る課税仕入れ等に該当する場合

(担当:三浦 希一郎)