【No713】デジタル手続法改正による「通知カード」の廃止

  今回は、デジタル手続法とその改正に伴う「通知カード」の廃止について、ご説明します。「通知カード」は確定申告書の提出 の際、毎回、提出が必要とされている「番号確認書類」として利用されていますが、今後取り扱いが変更となるため、注意が必要 です。

1.デジタル手続法

デジタル手続法は、正式名称を「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化 及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律(改正により「情報通信 技術を活用した行政の推進等に関する法律」と名称変更)(令和元年法律第16 号)」といいます。この法律は、令和元年5 月31 日、情報通信技術を活用し、行政手続等の利便性の向上や行政運営の簡素化・効率化を促進することを目的として、公布されまし た。そして、この改正に伴い、住民基本台帳法、公的個人認証法、マイナンバー法の改正が行われました。

具体的な改正内容は以下の通りです。

(1) 国外転出者に関する手続のオンライン化

  国外転出後の情報を戸籍の附票に記載する「附票ネットワーク(仮称)」の構築や国外転出者にも個人番号カード・ 公的個人認証を発行する

(2) 本人確認情報の長期かつ確実な保存及び公証

  本人確認情報の長期かつ確実な保存のため、「除票」として保存する期間を(現行)5 年間⇒(改正後)150 年間に する

(3) 利用者証明用電子証明書の利用方法の拡大

  マイナンバーカードの健康保険証としての活用が令和 2 年から本格的に運用開始されることを見込み、電子証明書 のうち利用者証明用電子証明書について暗証番号入力を要しない利用方法を導入する

(4) マイナンバーカードへの移行促進

  「通知カード」と記載事項変更等の手続を廃止する

2. 通知カードの廃止

  上記法改正により、通知カードは令和2 年5 月25 日に廃止され、マイナンバーの通知は個人番号通知書を送付する方法によ り行われることとなりました。ただし経過措置として、既に通知カードを所有し、当該通知カードに記載された氏名、住所等が住 民票に記載されている事項と一致している場合に限り、引き続き通知カードを、マイナンバーを証明する書類として使用すること ができることとされています。そのため、確定申告書の提出の際、毎回、提出が必要とされている「マイナンバーの記載」+「本 人確認書類の提示又は写しの添付」のうち、「本人確認書類」については、以下の取り扱いとなります。

  マイナンバーカードの普及率は、令和2 年1 月20 日時点で15%とほとんど利用されていませんでしたが、「特別定額給付 金」の受給を受けるため、マイナンバーカードを申請する人が急増しました。マイナンバーカードの作成にはおおむね1 ヶ月程 度はかかります。経過措置により、引越しなどにより住所が変わらない限り、通知カードはこれまで通り利用できますが、早期 に必要な方はお住まいの市町村へ確認をお勧めします。

(担当:福田智子)