【No712】新型コロナウイルス感染症に伴う適用要件の弾力化 ~住宅ローン控除及び住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例について~

住宅に係る税金については、適用要件として一定期間内の取得や居住を要件とするものがありますが、新型 コロナウイルス感染症による感染拡大状況を鑑み、一定の要件を満たす場合には、これらの要件が弾力化され ることとなりました。そこで、今回は『住宅ローン控除の適用の弾力化』及び『住宅取得等資金の贈与税の非 課税の特例の弾力化』についてご紹介します。

1.住宅ローン控除の適用要件の弾力化

(1)住宅ローン控除の特例措置(控除期間 13 年間)の適用について

  新型コロナウイルス感染症の影響による住宅建設の遅延等の対応策として、住宅ローンを借りて新築した住宅、取得した 建売住宅又は中古住宅、増改築等を行った住宅に、令和2 年12 月31 日までに入居できなかった場合でも次に掲げる要件 を満たす場合には、控除期間を13 年間に延長された住宅ローン控除の適用が可能です。

①新型コロナウイルス感染症の影響によって、住宅への入居が遅れたこと。

→国土交通省が定めた「入居時期に関する申告書兼証明書(控除期間13年間の特例措置用)」を確定申告書に添付する必要があります。

②次の期日までに、新築、建売住宅・中古住宅の取得、増改築等に係る契約を行っていること。

  • 新築の場合‥令和2年9月30日まで。
  • 建売住宅・中古住宅の取得、増改築等の場合‥令和2年11月30日まで。

③令和3年12月31日までの間に住宅に入居していること。

(2)中古住宅を取得した場合の入居期限要件について

住宅ローンを借りて取得した中古住宅について、その取得の日から入居までに 6 か月超の期間が経過していた場合でも、 次に掲げる要件を満たす場合には、住宅ローン控除の適用が可能です。

①新型コロナウイルス感染症の影響によって、住宅への入居が遅れたこと。

→国土交通省が定めた「入居時期に関する申告書兼証明書(既存住宅の取得後増改築等を行った場合用)」を確定申告書に添付する必要が あります。

②増改築等の契約が、中古住宅取得の日から5か月後まで又は特例法施行の日から2か月後のいずれか遅い日までに行われていること。

③増改築等の終了後6か月以内に、当該住宅に入居していること。

④令和3年12月31日までに当該住宅に入居していること。

2.住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例の適用要件の弾力化

 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例の適用を受けるためには、取得期限(贈与を受けた年の翌年3月15日)までに 住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築(いわゆる棟上げまで工事が了している状態を含みます。)又は取得等を し、居住期限(同年12月31日)までにその家屋に居住する必要があります。 ただし、今般の新型コロナウイルス感染症に関しては、例えば、緊急事態宣言などによる感染拡大防止の取組に伴う工期 の見直し、資機材等の調達が困難なことや感染者の発生などにより工事が施工できず工期が延長される場合など、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた自己の責めに帰さない事由については、「災害に基因するやむを得ない事情」に該当す るものと認められ、それぞれの期限が1年延長され、特例の適用を受けることができます。 具体的には、下記のようなケースが想定されます。

①令和元年に住宅取得等資金の贈与を受けて家屋の棟上げまで工事が終了し、令和2年12月31日までに居住する見込みであるとして、この 特例の適用を受けて贈与税の申告を行ったが、新型コロナウイルス感染症の影響により住宅の新築工事の工期が延長され同日までに居住でき なかった場合。

→居住期限の延長がされますので、令和3年12月31日までにその家屋に居住すれば、この特例の適用を受けることができます。

②令和2年に贈与を受けた住宅取得等資金について特例の適用を受ける予定であり、令和3年3月15日までに住宅を新築する見込みであった が、新型コロナウイルス感染症の影響により工事の工期が延長され、同日までに工事が完了できない場合。

→取得期限と居住期限が延長されますので、令和4年3月15日までにその家屋を取得し、令和4年12月31日までにその家屋に居住すれ ば、この特例の適用を受けることができます。

(担当:田中 正洋)