【No766】令和2年10~12月分の路線価等の補正について

 相続税や贈与税の計算において土地等を評価する際に使用する路線価等については、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮して、毎年、夏に公表されます。令和2年分の路線価等についても、令和2年7月1日に公表されていましたが、新型コロナウイルスの影響による地価の下落が著しい地域については、路線価等の補正を行うこととされています。このうち、令和2年7月から9月までの補正率は既に公表されていましたが、令和2年10月から12月分の路線価等の補正についても令和3年4月23日に国税庁より発表されました。

1.令和2年分の路線価等の補正

 令和2年分の路線価及び評価倍率については、同年7月1日に国税庁より公開されました。しかし、公開時に、今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、路線価等の補正を行うことが公表されており、具体的には、大幅な地価の下落があったと認められた地域については、路線価に「地価変動補正率」を乗じて評価額を算出することとされました。

(1)令和2年1月~6月までの評価

 当該期間においては、路線価等が時価を大きく上回る(大幅な地価下落)の状況は見受けられなかったとして、路線価等の補正は行われないこととされています。

(2)令和2年7月~9月までの評価

 当該期間における以下の地域の土地等については、路線価の補正を行うこととしています。

(3)令和2年10~12月までの評価

 国税庁においては、国土交通省が発表した令和2年第4四半期「地価LOOKレポート」及び令和3年地価公示を参考にするとともに、外部専門家に委託して地価動向調査を行った結果、令和2年1月以降10~12月までの間に、大阪市中央区の一部地域において、土地等の時価が路線価を下回る(大幅な地価下落)状況が確認されたため、これらの地域について、路線価の補正を行うこととしました。

2.補正のある土地の評価と贈与税の申告について

(1)土地の評価方法

 対象となる期間に補正の対象となる土地等を相続・遺贈又は贈与により取得した場合には、路線価に「地価変動補正率」を乗じた価額に基づき、土地等を評価します。

(2)令和2年10~12月に対象地域の土地等の贈与を受けた場合

 令和2年分の贈与税の申告期限は令和3年4月15日とされていましたが、補正率の公表に時間を要するため申告期限の個別延長が認められています。今回の路線価等の補正に係る公表の日(令和3年4月23日)から2か月以内の申告・納付が認められることとされています。

 また、愛知県名古屋市中区錦3丁目は、補正の対象地域に含まれていませんが、当初、補正が行われる可能性があると公表されていたことから、同様に申告期限の個別延長が認められることとされています。

 なお、補正前の路線価により既に贈与税の申告を行っている場合には、更正の請求により贈与税額の減額を請求することができます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)