【No880】令和3事務年度の所得税等の調査等の状況

 国税庁から令和3事務年度(令和3年7月~令和4年6月)の所得税及び消費税調査等の状況が公表されました。

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

1.所得税の調査等の状況 

 所得税の調査等件数は59万9,747件(前事務年度50万2,298件)で、そのうち実地調査の件数は3万1,407件(前事務年度2万3,804件)といずれも増加しました。

 申告漏れ所得金額は7,202億円(前事務年度5,577億円)で、そのうち実地調査の申告漏れ所得金額は4,198億円(前事務年度2,992億円)といずれも増加しました。

 追徴税額は1,058億円(前事務年度732億円)で、そのうち実地調査の追徴税額は804億円(前事務年度533億円)といずれも増加しました。

【所得税の調査等の状況】

※簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

2.消費税の調査等の状況

 消費税(個人事業者)の調査等件数は8万5,199件(前事務年度8万6,513件)で、そのうち実地調査の件数は1万6,908件(前事務年度1万1,076件)と実地調査の件数は増加しました。

 追徴税額は312億円(前事務年度180億円)で、そのうち実地調査の追徴税額は241億円(前事務年度133億円)といずれも増加しました。

【消費税の調査等の状況】

3.主な取り組み 

 資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に、富裕層に対する調査を積極的に実施されています。富裕層に対する追徴税額は238億円(前事務年度117億円)と前年比で約2倍に増加しています。

 また、海外投資等を行っている個人に対する調査、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行う個人に対する調査や暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人に対する調査などを積極的に実施されています。

 近年の消費税の輸出物品販売場の悪用し免税購入した物品を国内転売するような事案の増加に伴い、今回から輸出物品販売場制度の悪用事案に対する調査の状況が公表されるようになりました。

 令和3事務年度の所得税及び消費税の実地調査の件数は、いずれの税目においても増加しています。新型コロナウイルス感染症の影響による実地調査の件数減少が回復傾向にあり、今後も実地調査の件数は増加することが見込まれます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)