【No906】相続時精算課税制度を選択する場合の贈与税の申告書及び届出書の提出について

 令和5年度税制改正により、令和6年分の贈与から相続時精算課税制度に新たに110万円の基礎控除額が設けられることとなりますが、これに伴い贈与税の申告方法や届出書の提出方法についても変更が生じることとなります。今回はこれらについて解説します。

 制度の概要及び令和5年度税制改正の内容については、資産税FP News Vol.886「相続時精算課税及び生前贈与加算の見直しについて」をご覧ください。

1.令和5年分までの贈与税の申告書及び届出書の提出について

(1)贈与税の申告書の提出

 その年1月1日から12月31日までの間に相続時精算課税制度の適用を受ける財産の贈与を受けた人は、その贈与を受けた財産について、下記の場合に応じて贈与税の申告書の提出が必要となります。

 この場合において、相続時精算課税制度には特別控除額(限度額:2,500万円。前年以前に既に差し引いた金額があるときは、その金額を控除した残額)がありますが、贈与を受けた財産の価額の合計額が特別控除額以下であっても、贈与税の申告書の提出が必要となります。

(2)相続時精算課税選択届出書の提出

 相続時精算課税制度を選択する場合には、贈与税の申告期限までに相続時精算課税選択届出書を提出する必要がありますが、相続時精算課税選択届出書は贈与税の申告書に添付して提出しなければならないこととされています。

 なお、贈与者が贈与をした年の中途に死亡した場合に、相続時精算課税制度の適用を受けるときは、贈与税の申告書の提出は不要となり、「贈与税の申告期限」又は「相続税の申告期限」のいずれか早い日までに、相続税の納税地の所轄税務署長に相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。

2.令和6年分以降の贈与税の申告書及び届出書の提出について

(1)贈与税の申告書の提出

 令和6年1月1日以後の相続時精算課税制度の贈与については、贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円の基礎控除以下であるときは、贈与税の申告書の提出が不要とされます。

~参考~

 複数の特定贈与者から贈与を受けた場合の基礎控除額は、各特定贈与者からの贈与額に応じて下記算式により按分することとなります。

《具体例(特定贈与者であるAから120万円及びBから80万円の贈与を受けた場合)》

 この場合において、特定贈与者に相続が発生した場合の相続税の課税価格に加算される金額は、按分後の基礎控除額を控除した残額が加算対象とされます。

(2)相続時精算課税選択届出書の提出

 前述のとおり、相続時精算課税選択届出書は贈与税の申告書に添付(贈与者が贈与をした年の中途に死亡した場合を除く)して提出する必要がありますが、初めて選択する年分の贈与を受けた財産の価額の合計額が基礎控除以下である場合、贈与税の申告書の提出が不要となりますので、その場合は、相続時精算課税選択届出書のみ(※)提出することとなります。

※戸籍謄本等の書類の添付は必要です。(令和5年分までも同様)

(文責:税理士法人FP総合研究所)