【No931】令和5年の基準地価について

 令和5年9月21日に令和5年の地価調査結果が公表されましたので、その内容をご紹介します。

1.基準地価とは

 基準地価とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、基準地の毎年7月1日時点の地価について不動産鑑定士の評価を踏まえて都道府県知事が正常価格の判定をし、国土交通省が9月中頃に発表するものです。令和5年の調査対象の基準値数は、宅地が20,947地点、林地が434地点で全国の計21,381地点となっています。

 なお、似たような調査に「地価公示」がありますが、こちらは地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示しているものです。

2.変動率

 令和3年から令和5年の基準地価を前年と比較した変動率は下記のとおりです。

 全国平均の地価は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。

 国土交通省は上記傾向となった要因が、住宅地については「都市中心部や生活利便性に優れた住宅地では、住宅需要は堅調であり、地価の上昇が継続している」「土地中心部の地価上昇に伴い、周辺部にも地価上昇の範囲が拡大している」「生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化等により、郊外部にも上昇範囲の範囲が拡大している」とし、商業地については「都市部を中心に店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なマンション用地需要やオフィス需要等から、地価の上昇傾向がみられる」「インバウンドを含めた観光客の回復傾向を受け、多くの観光地で地価の回復傾向がみられる」と分析しています。

 三大都市圏においても、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇率が拡大しました。

3.全国における商業地の上昇率トップ10

 全国の商業地の上昇率上位10位のうち6地点を北海道が占める結果となりました。また、3地点を熊本県が占めていますが、これは近くに半導体の新工場が建築されている事が主な理由のひとつと思われます。

4.今後の流れ

 経済活動の正常化が進む中で、新型コロナウイルス感染症の影響等により下落局面にあった住宅、店舗等の需要は回復傾向にあります。とはいえ、比較的需要が堅調であった各地域の優良な住宅地やオフィス需要が中心となる商業地が含まれる割合が高いことから、今後も動向への注視が必要といえます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)