【No433】インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置(2割特例)

 消費税の免税事業者が適格請求書(インボイス)発行事業者になる場合の負担軽減措置として、一定期間において、売上げに係る消費税額から売上税額の8割を差し引いて納付税額を計算することができる、いわゆる2割特例の注意点をまとめてみました。

(1)概要

 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」の提出により課税事業者となった場合を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合には、納付税額の計算において控除する金額を、その課税期間における課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額に8割を乗じた額とすることができる経過措置が設けられています。

(2)2割特例を適用できる課税期間・できない課税期間

 適用にあたっては、消費税の申告を行う都度、適用を受けるかどうかの選択が可能ですが、申告する課税期間が適用対象となる課税期間である必要があります。

 2割特例は、インボイス発行事業者の登録がなかったとしたならば、消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間を対象としているため、例えば、基準期間における課税売上高が1千万円を超えるような課税期間については適用することはできません。

(注)「基準期間」とは、個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度のことをいいます。

 <例1> 免税事業者であった個人事業者が令和5年10月から登録を受けた場合

(基準期間における課税売上高のみを考慮した場合)

 課税事業者がインボイス発行事業者となった場合であっても、当該インボイス発行事業者となった課税期間の翌課税期間以降の課税期間について、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

 <例2> 課税事業者である個人事業者が令和5年10月から登録を受け、基準期間の課税売上高により免税事業者となる場合

(基準期間における課税売上高のみを考慮した場合)

 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間であっても、以下の場合は、2割特例の適用を受けることはできません。

① 消費税課税期間特例選択届出書の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間(当該届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間を含みます。)

② 令和5年10月1日より前から消費税課税事業者選択届出書の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間

 <例3>:令和4年12月に消費税課税事業者選択届出書と合わせて適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となった個人事業者の場合

⇒ 令和5年分は2割特例の適用不可。令和4年分の課税売上高が1千万円以下である場合には、(2割特例の適用ができない課税期間に該当しない限り)令和6年分については2割特例を適用可。

 ※ 適格請求書発行事業者の登録申請書を提出した事業者であって、「消費税課税事業者選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間から課税事業者となる事業者については、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することにより、「消費税課税事業者選択届出書」を失効させることができます。この場合、当該登録申請書の提出により、適格請求書発行事業者となった場合においては、登録日から課税事業者となり、当該課税事業者となった課税期間から2割特例を適用できることとなります。

⇒ 例3の場合、令和5年12月31日までに消費税課税事業者選択不適用届出書をした場合には、令和5年10月1日~12月31日の期間について2割特例適用可

③ 事業者免税点制度の適用が制限される課税期間

(注)「事業者免税点制度」とは、基準期間における課税売上高が1千万円以下であることにより事業者の納税義務が免除される制度のことをいいます。

 (国税庁:「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問112(2割特例の適用ができない課税期間①)ご参照)

(3)簡易課税を選択している場合の注意点

 2割特例は、一般課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも適用することが可能です。そのため、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していたとしても、2割特例を適用できる課税期間である場合には、申告の際に2割特例を適用することが可能となります。

【出典:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」、「インボイス制度において事業者が注意すべき事例集」】

(文責:税理士法人FP総合研究所)