【No439】販売費及び一般管理費の債務確定の判定について

 法人税法上、その事業年度の損金の額に算入される金額のうち、「販売費及び一般管理費」については、その事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られます。そこで債務確定の判定について解説します。

1.基本的な考え方

 法人税法において各事業年度の所得金額の計算上、その事業年度の損金の額に算入される金額は、別段の定めのあるものを除き、「売上原価等の額」、「販売費及び一般管理費その他の費用の額」、「損失の額」とされています。

 このうち、「販売費及び一般管理費その他の費用の額」については、その事業年度の販売費及び一般管理費その他の費用のうち、償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られています。(債務確定主義)

2.債務確定の判定

 上記の償却費以外の費用で、その事業年度終了の日までに債務が確定していると認められるものは、別段の定めのあるものを除き、次の要件のすべてに該当するものをいいます。

 ① その事業年度終了の日までに、その費用に係る債務が成立していること。

 ② その事業年度終了の日までに、その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

 ③ その事業年度終了の日までに、その金額を合理的に算定することができるものであること。

3.具体的事例

―その1―

 業者に事務所のトイレの修繕を発注し、事業年度終了の日までに業者によって修繕は完了しています。金額についても客観的に把握でき得る状況です。(契約書や業者の見積明細書等があり、請求書の発行を依頼しています。)

 ⇒上記2の要件を満たすことになり、未払金として計上することができます。

―その2―

 商品を販売専用ホームページに掲載し、販売の都度、商品ごとに異なる一定額の広告手数料を業者に支払う契約を締結している法人です。業者からの通知は、事業年度終了の日から2か月後となるため、やむを得ず前月と同額の広告手数料を未払計上しました。

 ➡業者からの通知により、販売された商品について確認し、広告手数料が確定するため、上記2の要件を満たさないことから、損金の額に算入することはできません。

(文責:税理士法人FP総合研究所)