【No441】高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法

高速道路利用料金に係る簡易インボイスの保存方法

 ① ETCクレジットカード(≠ETCコーポレートカード)を使用した高速道路利用に関しては、すべての取引について、ETC利用照会サービスでダウンロードした「利用証明書(簡易インボイス)」の保存により仕入税額控除を行うことが基本となります。

 ② クレジットカード会社から受領する「クレジットカード利用明細書」は、通常、売手の交付する書類ではなく、取引内容等の記載もないため、一般的に、インボイスには該当しないが、高速道路の利用頻度が高く、「利用証明書」のダウンロードが困難なときは、「クレジットカード利用明細書」(個々の高速道路利用に係る内容が判明するものに限る。また、取引日や取引内容、取引金額が分かる利用明細データ等を含む。)と、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引の「利用証明書」併せて保存することにより、インボイスの保存があるものとすることができます。

1.高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法

 一般的に高速道路利用については、いわゆるETCシステムを利用し、後日、クレジットカードにより料金を精算しています。この場合、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書の保存により仕入税額控除を行うことは、原則できません。

 クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付するクレジットカード利用明細書は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成及び交付する書類ではなく、また、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など、適格請求書の記載事項も満たしませんので、一般的に、適格請求書には該当しません。

 そのため、高速道路の利用について、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)により料金を支払い、ETCクレジットカード(クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除きます。)で精算を行った場合に、支払った料金に係る仕入税額控除の適用を受けるには、原則、高速道路会社が運営するホームページ(ETC利用照会サービス)から通行料金確定後、適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録(以下「利用証明書」といいます。)をダウンロードし、それを保存する必要があります。

2.高速道路の利用頻度が高く、「利用証明書」のダウンロードが困難な場合

 高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難なときは、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限ります。また、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等を含みます。と、利用した高速道路会社等(高速道路会社及び地方道路公社など)の任意の一取引複数の高速道路会社等の利用がある場合、高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る利用証明書をダウンロードし、併せて保存することで、仕入税額控除を行うことができます。

(注)1 利用証明書については、クレジットカード利用明細書の受領ごとに(毎月)取得・保存する必要はなく、高速道路会社等が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る適格簡易請求書の記載事項を満たした利用証明書を一回のみ取得・保存することで差し支えありません。また、例えば、A高速道路会社からB高速道路会社を経由してC高速道路会社の料金所で降りた際、C高速道路会社がまとめて利用証明書を発行している場合には、C高速道路会社の利用証明書を保存することになります。

(注)2 空港と内陸部を結ぶ連絡橋の通行料金(空港連絡橋利用税)など、消費税の課税対象とならない金額がある場合、その金額は仕入税額控除の対象外となります。

出典:国税庁 10月2日「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」

(文責:税理士法人FP総合研究所)