【No573】不動産売買における固定資産税精算金の税務上の注意点
土地・建物を売買する際には、実務上の慣行として固定資産税・都市計画税の精算を行うのが一般的です。今回は、固定資産税等の精算金の取り扱いについて、法人税および消費税の観点から注意点を整理します。
1.法人税法上の取り扱い
不動産の売買において、固定資産税・都市計画税は「引渡しの日」を基準に日割り計算で精算するのが通例です。
しかし、地方税法上の納税義務者はあくまで「毎年1月1日時点の所有者(=売主)」であり、年の途中に売買された場合でも公的な納税義務者は変わりません。
そのため、税務上、固定資産税精算金は税金の納付そのものではなく「売買代金(譲渡対価)の一部」として扱われます。
① 購入側(買主)の取り扱い
支払った精算金は「租税公課(費用)」ではなく、土地・建物の「取得価額」に算入します。建物部分に対応する精算金は、減価償却の基礎に含めます。
② 売却側(売主)の取り扱い
受領した精算金は「租税公課の戻り(益金)」ではなく、土地・建物の「売却対価(譲渡収入)」に含めて処理します。
2.消費税法上の取り扱い
消費税の計算においても、精算金は税金の還付ではなく「資産の譲渡対価の一部」として扱われます。土地と建物の性質に応じて、以下のように課税区分が異なります。
① 土地に対応する精算金:非課税
土地の譲渡自体が非課税取引であるため、土地部分の精算金も非課税となります。
② 建物に対応する精算金:課税
建物の譲渡は課税取引であるため、建物部分の精算金も課税取引となります。(売主は消費税のお預かり、買主は消費税のお支払いとなります)
3.居住用賃貸建物を取得した場合の仕入税額控除の制限
売買する建物が「住宅用の賃貸マンション・アパート等(居住用賃貸建物)」である場合、消費税の仕入税額控除に特別な制限がかかります。
事業用(オフィスや店舗)の賃貸建物であれば仕入税額控除の対象となりますが、居住用賃貸建物の場合は原則として消費税の控除を受けることができません。
そのため、建物本体価格だけでなく精算金に含まれる消費税額も含めて、控除対象外(控除できない消費税)として処理する必要があります。
(文責:税理士法人FP総合研究所)