【No194】新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金について

 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が、安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境の整備が求められています。

 そこで、環境整備を推進するために、正規雇用・非正規雇用を問わず、妊娠中の女性労働者に対して年次有給休暇とは別に特別の有給休暇を取得させた場合に、企業に対して助成金が支給される措置が講じられましたので、制度の概要をご紹介します。

1.母性健康管理措置とは

 男女雇用機会均等法により、妊娠中・出産後1年以内の女性労働者が保健指導・健康診査の際に主治医や助産師から指導を受け、事業主に申し出た場合に、その指導事項を守ることができるように必要な措置を講じることを事業主に義務付けた措置となります。

 事業主が母性健康管理措置を適切に講じるために、主治医や助産師の指導内容を的確に伝達する手段として、母性健康管理指導事項連絡カードがあり、令和3年7月1日より新様式が適用されることとなっています。

厚生労働省ホームページ 『女性労働者の母性健康管理のために』

2.新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置

 母性健康管理措置には、妊娠中の通勤緩和措置などがあります。詳細は厚生労働省ホームページ『働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について』をご確認ください。

 また、今般の新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、休業など必要な措置を講じることを義務付ける措置があります。

 要件としては、妊娠中の女性労働者が保健指導・健康診査を受けた結果、その作業などにおける新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが、母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、その旨を事業主に申し出た場合となります。

 なお、現時点で新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置は、適用期間を令和2年5月7日から令和4年1月31日までとすることとなっています。

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置について(リーフレット)

3.令和3年度新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金

 上述のとおり、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、妊娠中の女性労働者に対して年次有給休暇とは別に特別の有給休暇を取得させた場合に、要件を満たすことで企業に対して助成金が支給されます。

 令和3年度の助成金には、休暇制度導入のための助成金と休暇取得支援のための助成金の2種類がありますので、各助成金の支給要件などは下記内容をご確認ください。

(1)新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金

 【支給要件】

 ①新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師又は助産師の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る。)を整備すること。

 ②当該有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知すること。

 ③令和3年4月1日から令和4年1月31日までの間に、当該休暇を合計して5日以上取得させること。

 ④令和3年度の助成金の申請までに、対象となる事業場において令和2年度の「両立支援等助成金(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース」や令和2年度の「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金」を受給していないこと。

 【助成内容】

 1事業場につき1回限り15万円

 【申請期間】

 対象労働者の有給休暇の延べ日数が合計5日に達した日の翌日から令和4年2月28日まで。

 【申請書類等】

 厚生労働省ホームページをご確認ください。

リーフレット『新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金』

(2)両立支援等助成金(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース)

 【支給要件】

 ①新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師又は助産師の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る。)を整備すること。

 ②当該有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知すること。

 ③令和2年5月7日から令和4年1月31日までの間に、当該休暇を合計して20日以上取得させること。

 【助成内容】

 対象労働者1人あたり28.5万円 

 ※1事業所あたり上限5人まで

 【申請期間】

 対象労働者の有給休暇の延べ日数が合計20日に達した日の翌日から令和4年2月28日まで。

 【申請書類等】

 厚生労働省ホームページをご確認ください。

リーフレット『新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース』

(3)休暇制度導入のための助成金と休暇取得支援のための助成金の併給

 対象労働者が雇用保険被保険者の場合、同一の対象労働者の同一の期間であれば、2種類の助成金の併給が可能です。

 併給の場合には、2種類の助成金のすべての支給要件を満たすことが必要となります。

(文責:税理士法人FP総合研究所)